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エッセイ


福島・三春町だより 青々として悲し

(2011/08/10 NHKカルチャーメンバーズ倶楽部(NHK文化センター機関誌)掲載)

 風評とは、根拠の希薄な噂話のようなものだ。普通は「人の噂も七十五日」といって、あまり気にしないよう促すことが多い。どうして七十五日なのかと考えると、たぶん季節が変わるからだろうと思う。要するにそれだけの時間が過ぎれば、 […]

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上野のカツオ、小名浜のカツオ

(2011/08/01 うえの掲載)

 三月十一日(二〇一一年)から四月の初旬まで、私はほとんど町外に出かけなかった。新幹線が止まり、高速道路も通じなかったという事情もあるが、なによりそれを使って出かける講演を全てキャンセルしてしまったのである。  ずっと以 […]

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日曜論壇 第41回 人牛同病

(2011/07/03 福島民報掲載)

 政府の復興構想会議が一段落して、今一番気になっているのは警戒区域内に取り残された動物たちのこと、また福島県民の内部被曝(ひばく)のことだ。しかもこの二つは、私のなかでは繋(つな)がっている。  犬・猫などのペットについ […]

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情報による被災

(2011/07/01 調査情報(TBS総合メディア研究所)掲載)

 世の中にはじつに様々な情報が流れている。むろん、我々には見えなかったり聞こえなかったりする周波数があるように、情報として認識されるのはそのごく一部である。  東日本大震災直後の津波やそれによる被災地の映像などは、テレビ […]

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特集 美しい日本の言葉 海と阿弥陀堂

(2011/07 一個人(KKベストセラーズ)掲載)

 いわきの豊間や四ツ倉などの海岸は、私にとって海そのもの。子供の頃、驚きながら見つめ、怯えながら入り、そしてザリガニなどを追って楽しく駆け回った海である。  叔父がいわきで学校の先生をしており、そこへ泊まるのが唯一海で遊 […]

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全身が響くようなことば、心から思うことば

(2011/07/01 宣伝会議掲載)

 今回の震災で負った心の傷を緩和するために、どういうことばが適切か。政府や多くの企業が選んだことばは、「がんばれ」だった。崩れたものをどうにか元の形に戻し、全身から抜けた力を集めるためには、確かに、震災直後は有効だったか […]

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新 仕事の周辺

(2011/06/12 産経新聞掲載)

 四月から、政府の復興構想会議のメンバーをお受けすることになった。こういうことになると、じつにさまざまな方々からご連絡がある。手紙やメイルで資料を送ってくださる方、また「これは使えないか」と、放射線の防護や除染についての […]

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福島・三春町だより 借りる力

(2011/5/25 NHKカルチャーメンバーズ倶楽部 臨時特別号(NHK文化センター機関誌)掲載)

 あまりにも多くの人が亡くなり、あまりにも多くの孤独や苦悩が生まれた。  そうして人は、人間や、人間の作ってきたものがいかに脆いものであるかを痛感した。一言でいえば、無常を感じたのである。  圧倒的な映像がテレビで流れた […]

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Monmo 2011年初夏号 巻頭メッセージ 巨大なきっかけ

(2011/05/01 ふくしまを楽しむ大人の情報誌Monmo(モンモ)掲載)

 ふとしたことから、人は大きく変化することがある。たとえば誰かの死。これは一番大きい。我々僧侶としては、それだけでなく、年忌の法事なども大きなきっかけになると信じている。竹が節からしか枝を出さないように、新たな枝は新たな […]

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日曜論壇 第40回 急げど慌てず

(2011/05/01 福島民報掲載)

 この度、東日本大震災の復興構想会議メンバーになった。それでなくとも組織が多すぎ、指揮系統が複雑でよく分からないのだが、ともかく発言の場は与えられる。微力を尽くしたいと思っている。  今回の震災では、あまりにも未経験のこ […]

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三春町民が安定ヨウ素剤を飲んだワケ

(2011/04/09 文藝春秋掲載)

 三月十一日午後二時四十六分に起こった大地震は、その後の甚大な津波災害を伴い、また福島第一原子力発電所の危機によって、さながら地獄図のような様相を呈してきている。  私の住む福島県三春町も当該原発から約四十五キロ西にあり […]

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国は「誠」を示すべきだ

(2011/03/25 毎日新聞掲載)

不可欠なのは市民の被曝を抑えること 原発という「龍」を所有する資格はない  今日、三月二十三日現在、私はなんとか無事である。福聚寺というお寺にいて、微力ながら被災者の支えになれないかと避難所を巡ったりしている。しかしこの […]

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