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エッセイ


天真を養う 第8回 心力を労せず

(2022/03/01 墨 2022年3・4月号(275号)(芸術新聞社)掲載)

一行書「不労心力」 夢窓疎石 紙本墨書 一幅 南北朝時代 東京国立博物館藏 出典:ColBase(https://colbase.nich.go.jp/)  『臨済録』に次のような説示がある。「心法は形無くして十方に通貫 […]

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日曜論壇 第103回 たまきはる福島基金

(2022/02/20 福島民報掲載)

 原発事故が起こり、主に故郷から避難した子どもや若者を支援しようと「たまきはる福島基金」を立ち上げたのは二〇一一年の八月だった。立ち上げたといっても私が籏(はた)を振ったわけではなく、県の林業会館にいた渡邊卓治さんとその […]

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天真を養う 第7回 隻手

(2021/12/28 墨 2022年1・2月号(274号)(芸術新聞社)掲載)

 臨済禅の道場に入門すると、まず老師から初関と言われる公案をいただく。初関とは最初の関所。これにより、禅僧としての威儀や作法だけでなく、心の在り方も習得させようというのだ。  私は「狗子仏性(くしぶっしょう)(趙州(じょ […]

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特集 一期一会を考える コロナ禍と一期一会

(2021/12/15 月刊茶道誌 淡交掲載)

 コロナ禍が永く続き、人との接触が控えられてきた。今も接触する際はマスクを着けて距離をとり、家族以外との会話はほとんどマスク越しになされることが多い。  そうした接触を続けていると、いわば貯金を使うような気分になってくる […]

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日曜論壇 第102回 アナザーストーリーズ

(2021/12/12 福島民報掲載)

 歴史とは、スポットライトの当てようで一変してしまうことがあるものだが、はっきりそれを意図して作られているのがNHK・BSの「アナザーストーリーズ」という番組だろうか。  一九五〇年七月二日未明、京都鹿苑寺(ろくおんじ) […]

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追悼 瀬戸内寂聴 楽天力の人

(2021/12/04 図書新聞 第3522号掲載)

 寂聴さんと出逢ったのは、私の『アミターバ』が「新潮」に掲載されて程なくだったと思う。読んで対談したいと言ってくださり、新潮社の編集者が段取ってくれたのである。  対談場所は磐梯熱海の温泉宿だった。郡山のホテルで一緒に食 […]

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天真を養う 第6回 竹林の風

(2021/11/01 墨 2021年11・12月号(273号)(芸術新聞社)掲載)

沢庵宗彭「竹画讃」 福聚寺蔵  西洋の人々が東洋に憧れるとき、そこに意外なほど竹という植物が介在していることに気づく。茶筅や竹刀(しない)、筆や弓矢にも竹は欠かせないが、むろん竹林という環境もインドには竹林精舎を生みだし […]

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日曜論壇 第101回 形見としての自然

(2021/10/10 福島民報掲載)

 お通夜の儀式後、私はたいてい柩(ひつぎ)の蓋に筆で文字(言葉)を書かせていただく。別に私の発案ではなく、先住職である父がしていたことだし、元々は宗派に関係ない全国的な習慣で、棺文(かんもん)と言われる。  昔ながらの定 […]

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天真を養う 第5回 放心を具えよ

(2021/09/01 墨 2021年9・10月号(272号)(芸術新聞社)掲載)

宮本武蔵「枯木鳴鵙図」出典:和泉市久保惣記念美術館デジタルミュージアム  前回は意識を臍下に集め、身心の安定を図る白隠禅師の「内観の秘法」を紹介した。意識をどこかに集めることは、「求心」と謂い、禅定(あるいは三昧)へ向か […]

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日曜論壇 第100回 それどころじゃない!?

(2021/08/22 福島民報掲載)

 時間やお金や心理的余裕など、「それ」をするための条件が整わず、とても「それ」など行なってはいられない場合、「それどころじゃない」と言う。あるいは突発的な出来事で元来予定していたことができなくなった場合にも「それどころじ […]

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地方議会人2021年8月号 巻頭言 地方自治に思う「なにげない関わり」の再構築

(2021/08/06 地方議会人掲載)

問われる政府の本気度  令和三年二月、政府は「孤独・孤立」担当大臣を任命し、その対策担当室を設けた。こうした部門に専門大臣を置いたのはイギリスに次いで世界で二番目らしいが、初代の坂本哲志大臣は「一億総活躍相」との兼務。政 […]

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日本人像 万葉集に見いだしたい

(2021/06/26 中日新聞掲載)

 昔、狼に育てられた少女がいたという話をご記憶だろうか。インドで発見されたアマラとカマラである。狼養育説の是非はともかく、この話の衝撃は、ヒトはヒトから生まれただけでは人間になれないという認識を促したことだった。二足歩行 […]

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