門中(むんちゅう)のこと

(2015/03/31 東京新聞ほか掲載)

 二月初旬に講演のため、沖縄本島へ出かけた。いつも沖縄に行くと思うことだが、向こうのお墓は凄い。  およそ八百年前に中国の福建省や雲南省辺りから伝わったとされる「亀甲墓」を初め、屋根型になった「破風墓」、自然の崖などを利 […]

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ミトコンドリアの秘策

(2015/02/28 東京新聞ほか掲載)

 遙か古代に命を生みだした海の近くで、人類の直系の先祖である原核細胞は、異質な生命体ミトコンドリアに出会った。なにが異質かといえば、原核細胞は酸素が苦手で、細胞分裂を繰り返す。一方のミトコンドリアは酸素を好み、ほとんど分 […]

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「忘れる」ことの功徳(くどく)

(2015/01/31 東京新聞ほか掲載)

 十二月には「忘」年会が幾つもあり、一月になると今度は「新」年会がある。日本人が宴会好きなのは確かだが、どうもこの「忘」れて「新」たにするというやり方がじつに日本的である。  中国人に「忘年会」という文字を見せると、年齢 […]

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桃林の誓い

(2014/12/31 東京新聞ほか掲載)

 十一月の初旬、石垣島の桃林寺(とうりんじ)さんというお寺の開創四百年祭にお招きいただき、初めて石垣島にお邪魔してきた。昨年島の空港が新しくなり、羽田からの直行便も増えて便利だが、じつに新鮮な異文化体験だったのでご報告し […]

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フクシマ・フィフティー

(2014/11/30 東京新聞ほか掲載)

 福島第一原発が津波によって全電源を喪失したとき、施設には約六千人の従業員たちがいた。そのうち約二千人が六基の原子炉の立ち入り制限区域内で作業を行なっていたという。  五号機と六号機は定期点検のため冷温停止状態だった。し […]

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新「夢の島」構想

(2014/10/31 東京新聞ほか掲載)

 原発事故から三年半が経過した現在、最も気になることの一つが福島県双葉郡の町村の今後の在り方である。ご承知のように、自宅に住めず、県内外に仮住まいする人々は今でも十二万人を超える。仮住まいの地に根を生やす人も多く、はたし […]

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学術論文発表

(2014/09/30 東京新聞ほか掲載)

 八月十四日、私も共著者に含まれる学術論文が、イギリスの『Journal of Radiological Protection』に掲載された。放射線防護に関する専門誌である。執筆したのは東北大学理学研究科の小池武志准教授 […]

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驚くべき「共生」

(2014/08/31 東京新聞ほか掲載)

 何年かまえ、ヒトゲノムつまり人間の遺伝子の解読に、各国の学者さんたちが必死になっていた。皆、それが分かったら人間の設計図が分かるのだと、ずいぶん期待しながら待っていたような気がする。どうやら三十億の塩基配列はすべて解読 […]

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栗の花

(2014/07/31 東京新聞ほか掲載)

 最近、久しぶりに『奥の細道』を読んだ。ご存じ松尾芭蕉の晩年の紀行文である。  芭蕉は臨済宗の仏頂和尚に参禅したとも言われ、いわば禅のお仲間である。しかも近江に住んでいた頃の庵は幻住庵、これはうちのお寺の開山禅師が修行し […]

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「福島の真実」?

(2014/06/30 東京新聞ほか掲載)

 「福島の真実」が書かれているというので、「週刊スピリッツ」連載中の漫画『美味しんぼ』を読んでみた。すると、原作者の雁屋哲氏の分身とも思しき山岡某が、福島第一原発を視察しての帰京後、鼻血を出す。さぞや甚大なストレスだった […]

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八風吹けども

(2014/05/31 東京新聞ほか掲載)

 春一番、二番と、風を数える。また三寒四温と言いながら、本格的な春の日を待ち焦がれる。特に北国では、南のほうの梅や桜の開花情報を横目に見ながら、ゆっくりと桜前線が北上してくるのを待っている。やたらといろんなものを数えてし […]

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震災後文学賞

(2014/05/31 東京新聞ほか掲載)

 二月、三月と、たてつづけに短編集『光の山』(新潮社)で文学賞をいただいた。一つは新聞などに報道もされたから、あるいはご承知の方もいるかもしれない。芸術選奨文部科学大臣賞である。  ところがもう一つのほうは、おそらくご存 […]

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