書籍情報
内容
“出世間の教え”を戴く仏教者は、社会とどのように関わっていくべきか? 私たちは「仏教」に何を求めるのか?
末木文美士(すえき ふみひこ)先生監修。重層化・複雑化する現代日本の諸問題を切り口に、Engaged Buddhism(社会参加仏教)への新たな視座を提示する論考16篇を収録しています。
仏教は平和主義であるとか、仏教は生命を大事にするとか、口先だけのきれい事をやめようではないか。自分の感覚として何が大事なのか、自分自身を見つめ、そして考え直すところから出発するのでなければならない。経典に書いてあるからとか、宗祖がこういったから、ということは、もちろん宗派内の「公」としては成り立つし、それは否定しない。しかし、それは宗派を離れたら何の説得力も持たないことを認識しなければならない。それでもどうしても自分が主張せずにはいられないこと、実践せずにはいられないこと……そこから出発する他ない。(序論より)
<執筆者(敬称略)> 上田紀行/岡田真美子/前川健一/下田正弘/古津宣英/島薗進/菅原伸郎/熊本英人/大谷栄一/石井公成/玄侑宗久/南直哉/梶原敬一/町田宗鳳/勝本華蓮
もくじ
- はじめに
- 第1部 「生命のかけがえなさ」と仏教
- ・<いのち>の価値を保証する仏教(生命)/上田紀行
・環境問題における仏教の可能性(環境)/岡田真美子
・水子供養の論理は超えられるか?―生命倫理と仏教―(生命倫理)/前川健一
・なぜ非暴力なのか―仏教における暴力の自覚―(暴力)/下田正弘
・生死・仏教と向き合い直す(生死)/吉津宜英 - 第2部 「社会のなかの仏教」のあるべき形
- ・仏教と大衆自立思想―権威に抗う在家主義の時代性―(大衆運動)/島薗 進
・教育における仏教の可能性―迷わないために―(教育)/菅原伸郎
・仏教とジェンダーフリー・バッシング(性差)/熊本英人
・公共宗教としての仏教?(国家)/大谷栄一
・不殺生と殺生礼讃―仏教と戦争との関わり―(戦争)/石井公成 - 第3部 仏教者としての主体性
- ・自己とは何か(自己)/玄侑宗久
・「個」の条件―仏教者の視点から―(他者)/南 直哉
・死者と生きる(死者) 梶原敬一
・他宗教との共存、宗教間の対話(共存)/町田宗鳳
・俗世間において出世間的に生きる(出家)/勝本華蓮 - あとがき