両行
夫婦の椅子
(エッセイ・
2020/5/1 )
日本人の心性を培った最大の習慣は、正坐ではないかと思う。正坐は次の行動に待機する型でもありながら、そのまま禅定にも入ってしまえる。どっちつかずと言うこともできるが、欲張りな「両行(りょうこう)」である。また正坐は腹式呼 […]
あはれから無常への9年 危機を憶いださねばならない理由
(エッセイ・
2020/2/12 )
震災から9年が経とうとする今、あらためて震災以後の時間を振り返ってみたい。思えばこの火山列島に住む人々は、長い歴史のなかで多くの災害に遭ってきた。『方丈記』にも感じることだが、災害の多い境遇だからこそ培われた日本人なら […]
「両行」とこころのレジリエンス
(エッセイ・
2018/12/5 )
この国の諺(ことわざ)を眺めると、対立する意味合いの諺が必ずと言っていいほどあることに気づく。たとえば「善は急げ」と「急がば廻れ」、「嘘も方便」と「嘘つきは泥棒の始まり」、「一石二鳥」と「虻蜂取らず」、「大は小を兼ねる […]
村上マンダラの深化
(エッセイ・
2015/10/31 )
自噴する修行僧のように制作を続けてきた村上隆氏が、今度は五百羅漢図を描いた。しかも見晴るかすことさえ難しい全長100メートルの大幅、高さも3メートルある代物である。戦後日本のアニメやおたく文化を入り口に、江戸期からの伝統 […]
ひとりでに
(エッセイ・
2014/4/23 )
日本語では、「自然に」という意味合いで「ひとりでに」と言う。どうしてそう言うのか、以前から気になっていたのだが、『古事記』を読んでいてはっと気づいた。これは明らかに「独神(ひとりがみ)」のせいだ。突然そう思ったのである […]