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風流ここに至れり
(書籍・ 2014/11/25 )

震災をはさんでの、この10年玄侑宗久の心の「ゆらぎ」「今」にゆらぎながら、常に重心を取り直す禅の智慧流動し続ける現実に、文学は、宗教は、どう向き合うのか。福島県三春町在住の僧侶・作家による、10年以上にわたる「風流」=「 […]

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余白の美
(エッセイ・ 2014/9/8 )

 禅宗では修行者の指導に当たる人々を「老師」と呼ぶ。なかには二十代、三十代からそう呼ばれる人もいるが、とにかく免許皆伝になれば、皆「老師」である。  なにゆえここに「老」という文字を使うのか、考えてみよう。  仏教は人生 […]

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傾聴する僧侶
(エッセイ・ 2014/5/26 )

 昔は「旅の坊主に地侍」と言われた。僧侶は余所で生まれ育った人のほうがよく、侍は地縁血縁などを利用するためにも土地の人のほうがいい、ということだろう。僧侶はどうしてその土地の人でないほうがいいのか、何度か考えたことがある […]

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ひとりでに
(エッセイ・ 2014/4/23 )

 日本語では、「自然に」という意味合いで「ひとりでに」と言う。どうしてそう言うのか、以前から気になっていたのだが、『古事記』を読んでいてはっと気づいた。これは明らかに「独神(ひとりがみ)」のせいだ。突然そう思ったのである […]

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この辺りの幽霊の問題
(エッセイ・ 2014/2/28 )

 いま、被災地では、「幽霊の問題」があちこちで起こっている。そのことは、今年(二〇一三年)の七月、京都大学のこころの未来研究センター主催で開かれたシンポジウムでもテーマになった。生憎、私は先約があって出席できなかったのだ […]

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白隠 厳粛かつポップな禅僧
(エッセイ・ 2012/11/12 )

 白隠慧鶴禅師は貞享二(一六八五)年、駿河の国、原の宿に生まれ、明和五(一七六八)年、八十四歳で遷化(せんげ)した臨済宗の僧である。諡(おくりな)は後桜町天皇から「神機独妙禅師(しんきどくみょうぜんじ)」、明治天皇から「 […]

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仕事をしたり笑ったり
(エッセイ・ 2012/9/30 )

 宮澤賢治の一生は、二つの大災害に挟まれた三十七年間、と見ることもできる。生まれる二ヵ月まえに起きたのが明治三陸大地震(津波)、そして亡くなる半年まえに起きたのが昭和三陸大地震(津波)である。  生まれる以前のことはとも […]

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守られた時間と、天恵
(エッセイ・ 2012/8/1 )

 世の中では「読書の秋」と言われる。しかし「食欲の秋」でもあり「スポーツの秋」でもあり、また各種イヴェントも秋には目白押しである。忙しすぎて、本など読んでいられないのではないか。  私のなかでは、やはりまとまった読書がで […]

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死して生まれよ ~無常と「もののあはれ」~
(エッセイ・ 2012/3/3 )

「仏教の三宝印の一つ“諸行無常”。この“無常”は、とりわけ日本で発達した世界観である」――と語るのは、福島県で生まれ育った臨済宗住職であり、芥川賞作家でもある玄侑宗久氏。国難を迎えた現代日本にあって、東日本大震災復興構想 […]

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死がまとう生の衣装
(エッセイ・ 2011/11/27 )

 私はこれまで、「死の周辺」と解説されるような、さまざまな小説を書いてきた。死にゆくプロセスの恍惚に思いをいたして『水の舳先』(新潮文庫)を書き、死そのものの在り方を『アミターバ』(新潮文庫)で追い求め、また死後の「中陰 […]

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上野のカツオ、小名浜のカツオ
(エッセイ・ 2011/8/1 )

 三月十一日(二〇一一年)から四月の初旬まで、私はほとんど町外に出かけなかった。新幹線が止まり、高速道路も通じなかったという事情もあるが、なによりそれを使って出かける講演を全てキャンセルしてしまったのである。  ずっと以 […]

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運命の休刊
(エッセイ・ 2010/12/15 )

 大学生の頃、学校にはあまり行かず、小説を書いていた。自分の輪郭もよく分からず、「文体」にも意識は行き届かなかった。新人賞に応募しても二次選考に通らないこともあり、鬱屈した日々だった。  ところがある新人賞で最終選考に残 […]

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