論評

玄侑の著作への書評などを掲載します。


共鳴する福島のリアル
竹林精舎 書評 (執筆:土方正志氏)

(2018/03/11 読売新聞掲載)

 芥川賞作家であり福島県三春町福聚寺住職でもある著者の新作である。東日本大震災をテーマとした短編集『光の山』で二〇一四年に芸術選奨文部科学大臣賞を受賞、以来四年、著者久々の長編小説だ。物語は若い僧侶・宗圭が京都での修行を […]

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「変化を見詰める心」~新刊「なりゆきを生きるー『うゐの奥山』つづら折れ」
なりゆきを生きる 「うゐの奥山」つづら折れ 書評

(2020/06/21 福島民報掲載)

 変化が激しく、想定を超えた出来事が次々と起きる現代をどう生きるか。三春町の芥川賞作家玄侑宗久(福聚寺住職)は、新刊「なりゆきを生きる-『うゐの奥山』つづら折れ」に東日本大震災後から現在までの心模様を率直につづっている。 […]

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無為自然と運命開拓の両行
なりゆきを生きる 「うゐの奥山」つづら折れ 書評(執筆:多田則明氏)

(2020/05/31 世界日報掲載)

 2012年4月から7年半、新聞に掲載されたエッセー集。福島県三春町にある臨済宗福聚寺(ふくじゅうじ)住職の著者は、東日本大震災直後に父を亡くし、原発事故被災者のケアに携わりつつ、寺の改修工事を行い、復興構想会議の委員や […]

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死を受け入れる姿描く
アミターバ――無量光明 書評 <東北の本棚>

(2018/09/23 河北新報掲載)

 福島県三春町の臨済宗福聚寺住職で芥川賞作家の著者が、臨死体験記録や自身の宗教体験を基に描いた小説。がんに侵され、家族らに見守られながら死を受け入れる主人公の姿をリアルにつづる。2003年に発刊された作品を加筆修正し、復 […]

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福島在住の僧侶作家が描く原発事故と男女の結びつき
竹林精舎 書評 (執筆:鶴谷真氏)

(2018/03/09 毎日新聞掲載)

 阿武隈高地の西裾に抱かれた福島県三春町の福聚寺(ふくじゅうじ)住職にして芥川賞作家の玄侑宗久(げんゆう・そうきゅう)さんの小説「竹林精舎」(朝日新聞出版)が今年1月、刊行された。  東日本大震災の大津波で両親を失って出 […]

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時の在りか 愛とは被曝し合うこと

(2018/03/03 毎日新聞掲載)

 先週、放射能汚染土の袋があちこちに積まれる福島県の原発被災地を訪ねた。国内の新聞・通信・放送記者らによる日本記者クラブ取材団に参加した。現地で暮らす3人の話を紹介したい。  昨年3月、1地区を除いて避難指示が解除された […]

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恋と放射能汚染が迫る選択
竹林精舎 玄侑宗久著 書評 (執筆:清水良典氏)

(2018/03/03 日本経済新聞掲載)

二〇一一年の東日本大震災の津波で両親を亡くした青年が、葬儀をしてくれた一人の僧侶の澄んだ「氣(き)」に感動して弟子入りを志願する。三年後、出家して宗圭(そうけい)と名を変えた彼は、新米住職となって福島県の過疎地にある「竹 […]

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悲しみ越え、見出す居場所
竹林精舎 書評 (執筆:道尾秀介氏)

(2018/01/28 東京新聞掲載)

 2011年3月。湯島天神の境内で玄侑さんに突然こう訊(き)かれた。 「『ソロモンの犬』の登場人物たちのその後を、まったく別な環境のなかで書いてみたいんですけど、……いいですかね。」  『ソロモンの犬』(文芸春秋)という […]

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現代語訳 十牛図
十行本棚

(2016/06/31 週刊新潮掲載)

中国宋代に廓庵禅師が生み出した「十牛図」。禅の悟りを牛にたとえ、修行のプロセスを表現した解説図だ。古典翻訳家による現代語訳と禅僧作家・玄侑師の解説。失われた牛(自己)を探し求める旅は、日常の中で惑う現代人にも様々なことを […]

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仙厓 無法の禅
執筆:前田英樹氏(批評家・立教大教授)

(2015/09/28 読売新聞掲載)

 禅僧にして作家の著者が、そのいずれの蓄積をも自在に駆使して書いた仙厓伝である。  仙厓は、江戸中期を生きた禅僧で、人を食ったような墨絵と書で広く知られているが、本書を読むとその値打ちがよくわかってくる。仙厓は美濃の貧農 […]

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玄侑さんの折れない心
3冊の本棚 (執筆:江上剛氏)

(2014/05/25 中日新聞掲載)

 玄侑宗久氏は、芥川賞作家であるとともに福島県三春町にある臨済宗福聚寺(ふくじゅうじ)の住職だ。三春町は樹齢千年以上と言われる滝桜で有名だが、福聚寺の桜も美しい。東日本大震災による原発事故で、いまだに多くの人たちが避難を […]

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日本人の心のかたち
日本人の心のかたち 書評 (執筆:岡野守也氏・仏教心理学者)

(2013/12/15 東京新聞掲載)

 本書は日本人の心がいわば型崩れを起こしつつある今、そもそも何が本来のかたちだったのかを確認する試みであり、作家と禅僧という二足のわらじをきっちりと履き、福島の寺の住職として原発事故の被災地にしっかりと留(とど)まってい […]

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ビールと味噌煮込み
東京新聞 文化面 取材ノートから (執筆:東京新聞記者 三品信氏)

(2013/11/21 東京新聞掲載)

 文壇のパーティーで玄侑宗久(げんゆうそうきゅう)さんを見かけた。ごちそうを召し上がり、手にはお酒のグラス。初対面だが、こうしたとき余計な一言をつい発したくなる。失礼ですが「葷酒(くんしゅ)山門に入らず」ではないのですか […]

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怒りと祈りの光源
光の山 書評 (執筆:清水良典氏)

(2013/09/07 新潮掲載)

 東日本大震災のあと、あまりの惨状に文字通り絶句して、何ひとつ書けなくなった作家や詩人を私は何人も知っている。人類が解決できない放射能が拡散しつづけていて、家と家族と職業を奪われ苦しみ悲しむ被災者がいて、いまだ行方のわか […]

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怒り、無念、祈りはやがて物語へ
光の山 書評 (執筆:ロバート キャンベル氏)

(2015/08/31 波掲載)

 あの混沌と切迫のなかから作家はなにを感じ取り、どう振る舞い、誰に向かってなにを伝えようというのか。  被災地の外にいるわたくしたちも、震災と津波と原発事故の衝撃を身体からきれいに振り切るなんてまだまだ無理だ。振り返るこ […]

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カマキリとウマオイの間
光の山 書評 (執筆:陣野俊史氏)

(2013/07/07 文學界掲載)

 福島に住まう作家・玄侑宗久が「東日本大震災以後、切実な現実の推移のなかで綴った」(あとがきより)小説集だ。全部で六篇を収める。「あなたの影をひきずりながら」「蟋蟀」「小太郎の義憤」「アメンボ」「拝み虫」そして代表作「光 […]

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とり返しのつかないことを ─玄侑宗久『祈りの作法』
祈りの作法 書評 (執筆:大城立裕氏)

(2012/07/27 波 2012年8月号掲載)

 福島県三春町に一禅刹を守る作家が、原発災害とたたかいつつある、中間報告である。  講演、ルポ、日記(三月十一日から六月二十八日まで)の三章からなり、どういう順序で読んでもよくて、右の逆順が分かりやすいかとも思うが、私は […]

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心の不思議 三重人格の妻
石田衣良さんの愛書探訪 書評(執筆:石田衣良氏)

(2010/01/09 読売新聞掲載)

 講談社は日本最大の出版社。みんなも数々のマンガや雑誌などで、きっとおなじみだろう。その講談社が昨年十二月に創業百周年を迎(むか)えた。めでたいことである。創業時のスローガンは「おもしろくて、ためになる」だったという。ぼ […]

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多様な人格持つ人間存在の闇
阿修羅 書評 (執筆:江上 剛氏)

(2009/12 日本経済新聞掲載)

 妻、実佐子の中にもう1人の女性がいる。知彦は、いつもの控えめな妻ではなく奔放で、底意地の悪い女性の出現に驚く。彼女は、肉体は実佐子そのものであるにもかかわらず「あたしはあいつじゃないわよ」「トモミよ」とうそぶく。精神科 […]

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「多重人格」題材に人の無意識を描く
阿修羅 書評 (執筆・清水良典氏)

(2009/11/27 週刊朝日掲載)

 仏教啓蒙の仕事を旺盛に続けている著者の、作家としての実力のほどを窺わせる本格的な書き下ろし長編小説である。  めっぽう面白い。息を継ぐ暇もないほどの展開と、構成の妙に酔わされる。俗にいう「多重人格」、現在では「解離性同 […]

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