『死んだらどうなるの?』を読み終えたとき、「生まれ変わったら何になりたい」という話題を肴に酒を飲んだときのことを思いだしました。答えとしては「お金持ちの家に生まれてきたい」とか「可愛い女の子に生まれて、いい男と結婚して専業主婦なりたい」などがあったように思いますが、いずれも満足しえない現状を埋め合わす案として考えられた切実な意見が多く、いつもとは違う雰囲気で盛り上がったことを覚えています。
私は「今で満足しているから生まれ変わらなくてもいいよ」と答えようと思ったのですが、ちっとも説得力が無いし「どこが?」と突っ込まれるのがオチなので、少しヒネって「将来の自分に生まれ変わりたい」と答えました。その場は「なに言ってるんだ?コイツ?」といった感じで少し盛下がりかけたのですが、お店の女の子の「なんだか分かんなーい」という言葉に助けられ、何事も無かったかのように次の話題へと移っていきました。
私としては「生まれ変われるのかどうかは知らないが、将来の自分が生まれ変わるにふさわしいものになるよう、今を生きていくしかない」というつもりで言ったのですが、なにかまわりくどい言い方であり、いずれにせよ伝わりにくい説明だったと反省しています。
しかしこの「セリフ」はとても気に入っていて、人生がとても荒れていた頃に酒の力を借りてある聡明な女性に言ったら、「そんな生活してないじゃない!!」とバッサり切り捨てられてしまいました。次の朝、二日酔いの頭で「やっぱり今日をちゃんと生きていくしかないようだな」と考えていたことをほろ苦い気持ちで今も思い出します。