死んだらどうなるの?(小林様 42才 広島県 男性)

「知性と科学の限界」のあたりを読み返していて、能力について考えていた頃の事を思い出しました。当時色々考えていた事をある友人に聞いて貰いたくなり、居酒屋でしこたま飲んだあと次のように切り出しました。
「何をどうやったとしても、所詮ひとつの切り口にすぎないように思う。たとえばここに美しい流れの河があったとする。それを見て、天才的な作曲家はすばらしい音楽を書くだろうし、偉大な画家ならば絵筆を走らすはずだ。哲学者は思索に耽り、物理学者は方程式を残すのだろう」
そう言い終えた私は得意満面の顔をしていたと思うのですが友人の答は意外にも次のようなものでした。
「それはそうかもしれないが、そこに詩(うた)を作る才能のあるひとがいて、生涯最高の詩を作り上げたとする。そしておもむろに取り出した紙にその詩をしたため、紙の舟を折りその河に還してやったとしたらどうだろう」
もの凄い事をいとも簡単そうに言ってのける友人に驚きもしたが、何も切ったことが無いくせに偉そうなことをほざいていた自分が情けなく思えました。切ることに拘っていた私に切らないことの広がりを判らせてくれた夜であり、忘れがたい酒として今もはっきりと覚えています。

書籍情報



題名
死んだらどうなるの?
出版社
筑摩書房
出版社URL
発売日
2005/1/27
価格
760円(税別)
ISBN
9784480687036
Cコード
C0210
ページ
160
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