まわりみち極楽論(小林様 45才 広島県 男性)

 『まわりみち極楽論』を読み返していて『一期一会』について考えました。
エントロピーを定義する前提として『エルゴート仮説』という概念があります。例えば、表が白で裏が黒のカードが沢山あり、それらを屋上からばら蒔いたとしたら「全てが白になるということはめったに無く、白黒半々くらいなる場合が圧倒的に多い」と言うもので、一見当たり前のような事をわざわざ前提としているのです。しかし別の説明としては「自然現象A,B,C・・・が起こるための外的条件が全く同じなら(例えばA現象の方がB現象よりもエネルギーが低いというようなことが無ければ)長い間にはAもBもCも同じ頻度で生じる」というものもあり、これらのことが私の中ではなかなかしっくりときませんでした。と言うのも前者では奇跡はめったに起きないと言っているのですが、後者は奇跡も日常も同じ確率で起きると言っているように思えたからです。特に後者は実感と乖離しているので、奇跡が起きる時のエネルギーは高いのではないかと考え、無理矢理納得してきました。そうすると実生活においてエルゴート仮説は採用出来ず、エントロピーも考えれないことになり、これもまた詰まらない結論のように思いました。
 しかし今は違います。例えば運命の出会いで微笑みかけてくれた彼女の笑顔を奇跡と思えたのに、小学生の息子に小言を言いながら弁当を詰め優しく送り出してくれる妻の笑顔は日常と思ってしまう自分に寂しさを感じるようになってきたからです。前者が奇跡であるならば後者だって奇跡のはずです。
 一瞬一瞬を大切にすることが、私にも出来るのかもしれないと、今は思えてきました。

書籍情報



題名
まわりみち極楽論 人生の不安にこたえる
出版社
朝日新聞社
出版社URL
発売日
2003/6/13
価格
1470円(税別)
ISBN
9784022578396
Cコード
ページ
244
当サイトURL


題名
【文庫】まわりみち極楽論 人生の不安にこたえる
出版社
朝日新聞社
出版社URL
発売日
2006/11/7
価格(税抜)
519円(税別)
ISBN
9784022643810
Cコード
ページ
257
当サイトURL
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