1. Home
  2. /
  3. 論評
  4. /
  5. まるごと受け入れるということ。

現代語訳般若心経 書評 (執筆:斎藤みち子氏)

まるごと受け入れるということ。

 全部で262文字。短くてもっとも有名なお経の「般若心経」を現代語訳した本。
 純文学の作家で、また僧職にある人が現代語訳するのだから、わかりやすい工夫がいろいろ仕掛けられている。お釈迦さまが大勢の求道者や修行者と一緒にいるとき、シャーリプトラ(舎利弗=しゃりほつ)さんが、「もしも立派な若者が、般若波羅蜜多(智慧の完成)を実践したいというなら、どのように学べばいいと、答えてあげればいいでしょう」と聞いたら、世尊は深く悟りの境地におられたので、観自在菩薩が代わりに答えたんです。という設定で、般若心経を解説しはじめる。
 凝縮しぬいて262文字にしたお経だから、わかりやすく素人に教えてあげると設定しても、じつに難しい。何度も前のページに戻って確かめ、一生懸命理解していこうとしていたら、そんなことしないでまるごと受け入れてしまえというのが結論だったりして、奥が深いことこの上ない。

2006/11/07 ミセス(文化出版局)

書籍情報



題名
現代語訳 般若心経
著者・共著者
挿絵・川口澄子
出版社
筑摩書房
出版社URL
発売日
2006/9/6
価格
780円(税別)※価格は刊行時のものです。
ISBN
9784480063199
Cコード
C0215
ページ
224
当サイトURL

タグ: 現代語訳 般若心経