書籍情報
内容
「身と貨と孰(いず)れか多(まさ)れる」
人間存在にとって金銭とは何なのか
お金も「氣」も流動しめぐるもの?
禅寺の入婿として副住職の地位につく主人公の理洲は、かつて先物取引で親の老後の蓄えを全て失わせるという過去がある。悔恨から家出し浮浪者になりはて、最後は寺に拾われ僧侶になる。そんな彼にずっとつきまとうのは人間と金の関係への疑問だった。禅の修行や気功の鍛錬から得たものとは? はたまたソープ嬢や風来坊、寺再建に一億円を寄付する大金持ちなどとの出会いが、彼を答へと導く。芥川賞受賞直後に現世の金をテーマに綴った話題の作品。