論評
玄侑の著作への書評などを掲載します。
脳と魂
書物の輪蔵
(2005/02/08 大法輪掲載)
超刺激的な本が出た。『脳と魂』。解剖学者の養老孟司と、臨済宗の禅僧にして作家の玄侑宗久。両氏の対談である。解剖学者と禅僧。一見、異種格闘技試合のような組み合わせにも思える。が、もの言わぬ死体を見つめ続け、自然の在りよう […]
最先端思想を平易な言葉で
脳と魂 書評 (執筆:小林司氏)
(2005/02/07 産経新聞掲載)
養老孟司は解剖学者(東京大学名誉教授)、玄侑宗久は臨済宗僧侶で、平成十三年に『中陰の花』により芥川賞を受賞した作家である。本書は、「観念と身体」「都市と自然」「世間と個人」「脳と魂」の四章からなり、書名はその終章から採 […]
科学と禅が織りなす螺旋
脳と魂 書評 話題の新刊はこれだ!
(2005/02/07 週刊ポスト掲載)
仏教的な解剖学者と、科学的な禅僧。異なる゛知゛が共振し合う対談。<学校の体育の時間が、要するに、速く走る、高く飛ぶばかりで、普通に歩く、座るっていうことを全く教えないじゃないですか。全部非日常的な身体の使い方です>と禅 […]
死んだらどうなるの?
DANA INFORMATON BOOK 書評
(2005/01/20 DANA掲載)
「死」とは何か。「あの世」とはどういうところだろうか。「魂」って本当にあるのだろうか。「小学校の三年生の頃、死ぬのがこわかった」という自らの体験を踏まえて、誰でもが必ず抱く根源的な疑問に、僧侶である著者がていねいに答え […]
居場所を失った現代人のはかなさ
リーラ 神の庭の遊戯 書評 (執筆:天外伺朗氏)
(2004/11/07 朝日新聞掲載)
いわずと知れた芥川賞作家にして現役の僧侶、一貫して真正面から「死と救済」に取り組んできた著者が、自殺という重いテーマを扱った書き下ろし長編。そのわりに、読後感がさわやかなのは、この著者の作品に共通の特徴。 自殺した若 […]
自殺した若い女性の魂を生き残った者たちが追い求め、いつか自らが救われる物語
ダ・ヴィンチBook Watcherの絶対に読んでトクする20冊 書評 (執筆:清水良典氏)
(2004/11/06 ダ・ヴィンチ掲載)
玄侑宗久という作家は、『禅的生活』に代表されるような説教や伝道の方面での活躍が最近やたら目立つが、本来は実力のある小説家である。そのことを証明したのは前作の『アミターバ』だった。死にゆく者が現世を離れていく心のプロセス […]
著者とその本
リーラ 神の庭の遊戯 書評
(2004/10/01 新刊展望(日販)掲載)
独特の死生観を描いた魅力的な作品を世に送り続ける、“小説を書く僧侶”玄侑宗久氏。新作『リーラ 神の庭の遊戯』は、自殺と「共時性」がテーマの長編小説である。 自殺した二十三歳の女性・飛鳥。彼女と関わりのあった六人が、そ […]
ストーカーの魔の淵で
リーラ 神の庭の遊戯 書評 (執筆:鈴村和成氏)
(2004/10/01 新潮(新潮社)掲載)
一人の若い女性の自殺をめぐる物語。著者はこれまで六冊の小説(デビュー作で芥川賞候補になった『水の舳先』、芥川賞受賞作『中陰の花』、受賞以後の『アブラクサスの祭』『化蝶散華』『御開帳綺譚』『アミターバ』)で、霊魂と救済の […]
自殺めぐり複数の視点で 玄侑宗久氏の新作『リーラ』
リーラ 神の庭の遊戯 書評
(2004/09/29 朝日新聞掲載)
約3万4000人という史上最多の自殺者が出ているなか、僧侶で作家の玄侑宗久さんが発表した自殺をめぐる小説『リーラ 神の庭の遊戯』(新潮社)が注目されている。仏教思想に基づく「答え」の提示ではなく、息苦しい世界観を超えて […]
理屈で解けない生と死の物語
リーラ 神の庭の遊戯 書評 (執筆:内藤麻里子氏)
(2004/09/19 毎日新聞 今週の本棚、本と人掲載)
自殺とは何かを問い、残された人々の再生を描いた書き下ろし長編小説。23歳の女性・飛鳥の自殺から3年、整体師の弟、死を受け入れられない母親、ストーカーだった男ら6人の視点から彼女がどう生きたかが語られる。 「6人の目線 […]
この世のことは「リーラ」にまかせて
リーラ 神の庭の遊戯 書評 (執筆:立松和平氏)
(2000/09 波(新潮社)掲載)
禅は明晰な思想である。禅僧である著者がなぜ霊魂のことや、世にオカルトと呼ばれている現象を主題とした小説を書くのかと、私は疑問を持っていた。そして、この小説を読み、その疑問が解けたように思った。 私たちが生を刻んでいる […]
ヒト脳の煩悩と悟りをユーモラスに考える 「理屈」や「価値判断」は最大の妄想だって?
禅的生活 書評 (執筆:岸本葉子氏)
(2004/02/06 週刊朝日掲載)
迷い多き私にとって、禅は気になるものである。不動心をうち立てるための、ヒントがありそうで。 書店でタイトルにひかれ、まえがきをめくって「へえっ」となった。ご存じ、著者は、作家にして禅僧だが、まえがきによると、禅僧とい […]