還暦に思うこと、というご要望なので、一巡した丙申(ひのえさる)までの人生を些か振り返り、いま思うことを書いてみたい。 自分のこれまでの人生を省みると、どうやら私は敷かれたレールからいつも少しずれた道を歩き続けてきたよ […]
書籍題名: み・水の舳先
闘う温泉
私の『水の舳先』という作品は近くの湯治場がモデルになっています。坊さんという仕事柄、死に日常的に直面します。 私は病を治すということは、病と闘うことだとは思っていないんです。中国には「多病長生」という言葉があります。 […]
臨終観が示す救いの地平
かねてから疑問に思っていることがあった。日本の仏教者から現代社会に切り込むような発言が聞こえてこないのは何故か。新宗教はともかく、在来仏教からの発言は極めて少ない。仏教的見地から見たグローバリゼーションとか、仏教的教育 […]
水の舳先
現役僧りょの作家による芥川賞候補作。主人公は東北の温泉療養所で書道を教える僧りょ。彼と入所患者との間に流れていた平凡な時間は、ある男の死をきっかけにバランスを崩し始める。その過程を落ち着いた筆致でつづりながら、生と死、 […]
ガン治療の値段
現在では三人に一人がガンで死ぬ。つまりガンは、最もありふれた死因になってしまった。 ガンになると恐らく誰でも様々な医薬品や健康食品を試みる。それは何にでも縋りたい人情の自然というものだろう。 四月に新潮社から刊行された […]
水の舳先
和尚さん、私の「懺悔」を聞いていただきたいんです。 「霊泉」を利用した温泉療養施設には、重い病に悩む客たちが遠方から大勢集まり逗留しており、僧玄山はそこで書道教室を開きながら客たちの相談相手にもなっていた。末期ガンの久美 […]
【文庫】水の舳先
第124回・芥川賞候補作 「水の舳先」は投稿作品として「新潮」に掲載され、第124 回芥川賞候補作となりました。 温泉施設「ことほぎの湯」には、重い病を患う人が集まってくる。僧・玄山は書道教室を開き、彼らの相談相手になっ […]
坊さんが、坊さんとして書いていきたい
新人作家の登竜門、芥川賞の選考会が十六日、東京であり、候補に選ばれていた田村郡三春町御免町、福聚寺副住職玄侑宗久(四十四)さんは、惜しくも受賞を逃した。候補作「水の舳先」は、人間の死を前に仏教とキリスト教の考えが交錯す […]