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エッセイ


日曜論壇 第121回 翳る針路

(2025/06/15 福島民報掲載)

 先日、初めてテレビ番組の題字を頼まれて書いた。「翳(かげ)る針路」というタイトルである。ただこの字、行書体で書くと、「翳」にはルビを振らないと読んでもらえないだろうと思い、その部分は平仮名で「かげる」としたのだが、締ま […]

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かまくら春秋 55周年記念特大号エッセイ・わたしの想い出 適(たま)たま得て、幾(ちか)し

(2025/05/01 かまくら春秋2025年5月号 No.661 55周年記念特大号掲載)

 僧侶になってからの人生が、なる以前の時間よりも長くなった。近ごろつくづく思うのは、この仕事が如何に受け身で、無計画を旨とするか、ということだ。  むろんお寺とて、年間行事の予定は立てるし、私の場合は原稿の〆切もある。し […]

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天真を養う 第27回 羅漢で結構!

(2025/05/01 墨 2025年5・6月号 293号(芸術新聞社)掲載)

一行書「教外別伝不立文字」 一休宗純 室町時代 15世紀 紙本墨書 東京国立博物館蔵 出典:ColBase(https://colbase.nich.go.jp)  通常は「不立文字(ふりゅうもんじ) 教外別伝(きょうげ […]

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日曜論壇 第120回 折れ松

(2025/04/06 福島民報掲載)

 こんな言葉は見たことも聞いたこともないが、そうとしか言いようのない事態が起きた。じつは二月の強風で庭の赤松が折れ、池に向かってほぼ直角に倒れた。樹齢およそ二百年、庭師さんが毎年足場を組んで丹精してきた松だが、今や枝先が […]

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天真を養う 第26回 春は花

(2025/03/01 墨 2025年3・4月号 294号(芸術新聞社)掲載)

一行書「花開万国春」 池大雅 江戸時代 18世紀 紙本墨書 1幅 126.9×27.0 東京国立博物館蔵 出典:ColBase(https://colbase.nich.go.jp)  「春は花」は常套句だが、それもその […]

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夢見る「老衰」

(2025/02/10 がん研有明友の会会報「有明の風」64号掲載)

 ここ数年、長く不動だった日本人の死因に大きな変化が現れている。一位悪性新生物(がん)、二位心疾患は変わらないものの、三位だった脳血管疾患が四位に後退し、浮上したのは老衰である。概して言えば、がんと老衰は徐々に増えつづけ […]

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日曜論壇 第119回 仏像の時価?

(2025/01/26 福島民報掲載)

 昨秋、私が兼務しているお寺で仏像が盗まれた。総代長からの連絡で行ってみると、離れたお堂の入り口の錠(かぎ)が壊され、三体の仏像と古い燈籠の上部が跡形もない。本堂のほうも、本尊さまをはじめ同じ棚に置かれていた幾つかの仏像 […]

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天真を養う 第25回 不生の仏心

(2025/01/01 墨 2025年1・2月号 292号(芸術新聞社)掲載)

墨蹟「不生」 盤珪永琢 江戸時代 17世紀 紙本墨書 29.7×56.0 九州国立博物館蔵 出典:ColBase  臨済禅は、白隠(はくいん)禅師が中興の祖とされ、今に伝わるのは全て公案を用いるその流れだけになってしまっ […]

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日曜論壇 第118回 山のあなた

(2024/11/17 福島民報掲載)

 以前私は、人が住む場所によって物の見方にどんな影響があるのか興味を持ち、『四雁川流景』という短編集を書いたことがある。水の豊かな架空の町で、湿地帯や盆地の中央部、坂の途中や丘の上、あるいは古代の墓地跡に建てられた高層ビ […]

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天真を養う 第24回 造作すること莫れ

(2024/11/01 墨 2024年11・12月号 291号(芸術新聞社)掲載)

慈雲飲光筆一行書 慈雲飲光 18世紀 紙本墨書 一幅 93.5×25.4 慶應義塾蔵(センチュリー赤尾コレクション)  第二回ではお茶に絡め、仙厓(せんがい)和尚の「無事」を扱ったが、今回の書はその大元である「無事是貴人 […]

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日曜論壇 第117回 電力地獄

(2024/09/08 福島民報掲載)

 県内外へ約16万人が避難した原発事故から13年半、今も2万5千人以上の人々が事故以前とは別な場所で暮らしている(県外避難者は2万人強〔R6,5/1時点〕)。あの事故以後の我々は、今後の電力の在り方についても相当真剣に考 […]

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天真を養う 第23回 兎角の杖、亀毛の拂子

(2024/09/01 墨 2024年9・10月号 290号(芸術新聞社)掲載)

一行書 「龜毛拂」「兎角杖」 木庵性瑫  江戸時代前期 各136.2×37.9 愛知県美術館蔵(木村定三コレクション)  一瞬「鬼の角」かと思ったがそうではない。「兎の角」である。「兎角亀毛」という禅語があり、あり得ない […]

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