エッセイ
日曜論壇 第6回 御朱印コレクション
(2005/04/24 福島民報掲載)
世の中にはさまざまなコレクターがいる。切手やコイン、ワインのラベルなど、趣味的なものだけでなく、世に学者と云われる人の多くも、もしかするとある種のコレクターなのかもしれない。他人の言説をまず集め、その反証をコレクション […]
「海を飛ぶ夢」映画評 尊厳死の奥に深い人生と愛
(2005/04/14 朝日新聞掲載)
観(み)おわってしばらく、奇妙な高揚感に包まれた。 ある人々に対してこの映画は、尊厳死に関する映画だと紹介することも可能だろう。主人公のラモンは25歳のときに引き潮の海に飛び込み、海底に頭を強打して首から下が不随にな […]
仏教宇宙 VS 物理宇宙 仏教宇宙が物理宇宙を包み込む
(2005/03/31 AERA臨時増刊 No.19掲載)
宇宙というと、ふつうはOuter Space、つまり地球外の空間を想像されるだろう。しかし初めにお断りしておきたいのは、ここでの宇宙とは空間だけでなく、時間をも含んだ概念であることだ。 「宇宙」という言葉が初めて現れ […]
信者生むネット教育
(2005/03/18 読売新聞掲載)
地下鉄サリン事件から10年 地下鉄サリン事件が起きて10年になる。その間、オウム真理教は宗教法人アーレフと改名して活動を続けている。 上祐史浩氏率いるアーレフは、オウム真理教の負った賠償責任も受け継いだ。総額38億円 […]
言語道断と自業自得
(2005/02/26 地方新聞各紙掲載)
よく耳に馴染んだ四字熟語だと思うが、正確な意味はご承知だろうか。 言語道断(ごんごどうだん)はよく「道」が「同」と間違って書かれるが、本来「道」は「いう」と読み、言語で道(い)うことが難しい不可思議な仏法のこと。禅語 […]
みんなの花
(2005/02/24 月刊ランティエ 特集「読む桜」掲載)
桜はなぜ日本人みんなの花になったのか、考えてみるとよく解らない。 桜は国産の花木だというが、「桜」という文字は、中国からやってきた。むろん中国の漢詩でも桜は古くから登場する。おそらくはそれを真似て『古事記』『日本書紀 […]
日曜論壇 第5回 自燈明(じとうみょう)
(2005/02/20 福島民報掲載)
二月の半ばは、我々僧侶にとっては涅槃会(ねはんえ)の季節だ。たいていのお寺では、お釈迦さまが右手枕で横になった「涅槃図」をかけてお祀りするはずである。そこには大勢の弟子たちばかりでなく、禽獣類もたくさん描かれている。な […]
どっこいしょ
(2005/02/19 地方新聞各紙掲載)
立ったり坐ったりするとき、「どっこいしょ」と呟(つぶや)いたりすると「年だなぁ」なんて冷やかされる。あるいは自分で自嘲のわらいを漏らしたりするわけだが、この言葉、もともとは「六根清浄(ろっこんしょうじょう)」がなまった […]
魔羅
(2005/02/12 地方新聞各紙掲載)
思わず眉(まゆ)を顰(ひそ)める方もおありだと思うが、これも仏教語なのだから仕方ない。もともとは僧侶たちだけが使った隠語なのだが、いつのまにか世間に知られてしまった。ばらしたのは誰だ? 本来は梵語(ぼんご)のマーラだ […]
檀那と坊主
(2005/02/05 地方新聞各紙掲載)
「社長、ちょっと寄ってくださいよ」なんて今の客引きは誘うが、昔は「旦那(だんな)さん」と呼びかけた。この「旦那」、本来は「檀那」と書く。梵語のダーナパティの音写である。 もともと仏教教団を経済的に支えた布施者のことだ […]
ホラ吹き
(2005/01/29 地方新聞各紙掲載)
ホラ吹きとは、一般にはウソつきのことだが、時には事を大袈裟(おおげさ)に話すことも含む。その場合は特に「大法螺(おおぼら)を吹く」と言ったりする。 ご存じのように、法螺とはもともと修験道などで使われるホラ貝製の楽器で […]
「わが屍は野に捨てよ-一遍遊行」解説 すさまじき遊行の迫力
(2005/1/28 新潮文庫掲載)
この本は、まるごと一遍上人の一生である。俗世での生い立ちや成長はむろんのことだが、念仏者として自身の教義を確立していく過程も、リアルに追体験できる。編年で書かれているのは、著者の誠実なのだろう。筆を遊ばせぬ確かな素描は […]