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エッセイ


「隻手の音なき声 ドイツ人女性の参禅記」書評 禅体験の、新しい古典!

(2005/09/03 玄侑宗久公式サイト書き下ろし掲載)

 なんという真摯な魂の記録、そしてなんという禅の本質的な表現であることだろう。それがこの『隻手の音なき声』(リース・グレーニング著、上田真而子訳、筑摩書房)を読みながら、何度も何度も私の胸に波のように押し寄せた思いであっ […]

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「もらい笑い」の思い出

(2005/09/01 月刊日本橋掲載)

 最近はあまり聞かないが、かつて中国には泣き女・泣き男という習慣があった。つまり儒教で葬儀をするに際し、儒教には僧侶に当たる人がいないので、儀式ぜんたいを泣くことで盛り上げ、ある種のカタルシスにまで運んだのだろう。  唐 […]

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日曜論壇 第8回 電話の電話、郵便の郵便

(2005/08/28 福島民報掲載)

 最近どうも、電話に関係した電話が多い。要するに、新しいシステムができて、これまでより安くなるので加入しないか、というお誘いのようだが、どうも要領を得ない。  要領を得ないだけでなく、なかには詐欺的な手法をとるところもあ […]

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「全国文学館ガイド」掲載 偏愛が支える熱情

(2005/08/20 全国文学館ガイド掲載)

 全てのものごとは複雑に原因が絡み合い、またその場の条件にも左右されながら、私との関係性のなかで起こる。そう考えるのが仏教であり、「縁起」の思想だろう。だから仏教では、単独で固定的な実在を一切認めない。それが「空」の哲学 […]

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山からの声

(2005/08/17 北日本新聞掲載)

立山が囁く私の在り方  今年の七月、富山市での講演の翌日、かねて憧(あこが)れていた立山にT氏の案内で出かけた。彼の車で行けるところまで行き、そこから称名の滝まで、ほんの二、三キロ歩いただけだから、とても山に登ったとは云 […]

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「ロマンティック・デス-月を見よ、死を想え」解説 月落ちて天を離れず

(2005/12/24 ロマンティック・デス-月を見よ、死を想え掲載)

 なんと云えばいいのだろう。解説を書くためにこの本を読み終え、今は少し失語状態である。  たぶんその、大きな原因は、やはり驚きだと思う。世の中に、しかも日本に、こんなことを考えている人がいた……。そういう感じかもしれない […]

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のれんに腕押し

(2005年夏 ソニー・ファミリークラブ Zekoo(商品紹介)掲載)

 のれんに腕押しというと、こちらのアプローチに対してあまりに反応がなく、張り合いがないことを云う。しかし実際ののれんは、少しだけ反応があって、それが心地いい。  私のように頭を剃っていると、剃った翌日などはのれんの抵抗が […]

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日曜論壇 第7回 同期の不思議

(2005/06/19 福島民報掲載)

 同期の桜、とは昔から云うが、このところ、科学用語としてもこの「同期」が使われている。  たとえば心臓の孤独な動きも、約一万個のペースメイカー細胞で保たれている。外から電気仕掛けのペースメイカーを入れることもあるが、もと […]

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有情の春

(2005/04/26・05/12 中日新聞・東京新聞掲載)

 仏教には、この世のすべての物を「有情(うじょう)」と「非情」とで分ける習慣がある。「有情」は唐の玄奘(げんじょう)三蔵が梵(ぼん)語の sattva(サットバ) を訳した言葉で、それ以前は「衆生」と訳されていた。  衆 […]

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日曜論壇 第6回 御朱印コレクション

(2005/04/24 福島民報掲載)

 世の中にはさまざまなコレクターがいる。切手やコイン、ワインのラベルなど、趣味的なものだけでなく、世に学者と云われる人の多くも、もしかするとある種のコレクターなのかもしれない。他人の言説をまず集め、その反証をコレクション […]

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「海を飛ぶ夢」映画評 尊厳死の奥に深い人生と愛

(2005/04/14 朝日新聞掲載)

 観(み)おわってしばらく、奇妙な高揚感に包まれた。  ある人々に対してこの映画は、尊厳死に関する映画だと紹介することも可能だろう。主人公のラモンは25歳のときに引き潮の海に飛び込み、海底に頭を強打して首から下が不随にな […]

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仏教宇宙 VS 物理宇宙 仏教宇宙が物理宇宙を包み込む

(2005/03/31 AERA臨時増刊 No.19掲載)

 宇宙というと、ふつうはOuter Space、つまり地球外の空間を想像されるだろう。しかし初めにお断りしておきたいのは、ここでの宇宙とは空間だけでなく、時間をも含んだ概念であることだ。  「宇宙」という言葉が初めて現れ […]

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