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余白の美
(エッセイ・ 2014/9/8 )

 禅宗では修行者の指導に当たる人々を「老師」と呼ぶ。なかには二十代、三十代からそう呼ばれる人もいるが、とにかく免許皆伝になれば、皆「老師」である。  なにゆえここに「老」という文字を使うのか、考えてみよう。  仏教は人生 […]

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驚くべき「共生」
(エッセイ・ 2014/8/31 )

 何年かまえ、ヒトゲノムつまり人間の遺伝子の解読に、各国の学者さんたちが必死になっていた。皆、それが分かったら人間の設計図が分かるのだと、ずいぶん期待しながら待っていたような気がする。どうやら三十億の塩基配列はすべて解読 […]

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「福島の真実」?
(エッセイ・ 2014/6/9 )

 「福島の真実」が書かれているというので、「週刊ビッグコミックスピリッツ」連載中の漫画『美味(おい)しんぼ』を読んでみた。すると、原作者の雁屋哲(かりやてつ)氏の分身とも思(おぼ)しき山岡某が、福島第一原発を視察しての帰 […]

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震災後文学賞
(エッセイ・ 2014/5/31 )

 二月、三月と、たてつづけに短編集『光の山』(新潮社)で文学賞をいただいた。一つは新聞などに報道もされたから、あるいはご承知の方もいるかもしれない。芸術選奨文部科学大臣賞である。  ところがもう一つのほうは、おそらくご存 […]

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傾聴する僧侶
(エッセイ・ 2014/5/26 )

 昔は「旅の坊主に地侍」と言われた。僧侶は余所で生まれ育った人のほうがよく、侍は地縁血縁などを利用するためにも土地の人のほうがいい、ということだろう。僧侶はどうしてその土地の人でないほうがいいのか、何度か考えたことがある […]

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玄侑さんの折れない心
(論評・ 2014/5/25 )

 玄侑宗久氏は、芥川賞作家であるとともに福島県三春町にある臨済宗福聚寺(ふくじゅうじ)の住職だ。三春町は樹齢千年以上と言われる滝桜で有名だが、福聚寺の桜も美しい。東日本大震災による原発事故で、いまだに多くの人たちが避難を […]

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ひとりでに
(エッセイ・ 2014/4/23 )

 日本語では、「自然に」という意味合いで「ひとりでに」と言う。どうしてそう言うのか、以前から気になっていたのだが、『古事記』を読んでいてはっと気づいた。これは明らかに「独神(ひとりがみ)」のせいだ。突然そう思ったのである […]

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石敢當(いしがんとう)
(エッセイ・ 2014/3/1 )

 一月末から二月の初め、日本看護協会の招きを受けて沖縄に出かけてきた。やはり沖縄は別天地、かろうじて零度を上回る福島の気温からすれば、一気に二十度も上昇したことになる。緋寒桜がやや満開をすぎ、菜の花、椿はもちろん、なんと […]

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この辺りの幽霊の問題
(エッセイ・ 2014/2/28 )

 いま、被災地では、「幽霊の問題」があちこちで起こっている。そのことは、今年(二〇一三年)の七月、京都大学のこころの未来研究センター主催で開かれたシンポジウムでもテーマになった。生憎、私は先約があって出席できなかったのだ […]

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日本人の心のかたち
(論評・ 2013/12/15 )

 本書は日本人の心がいわば型崩れを起こしつつある今、そもそも何が本来のかたちだったのかを確認する試みであり、作家と禅僧という二足のわらじをきっちりと履き、福島の寺の住職として原発事故の被災地にしっかりと留(とど)まってい […]

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食材偽装とブランド信仰
(エッセイ・ 2013/12/7 )

 食材偽装があちこちのホテルや飲食店、果てはデパートでも次々と発覚している。まず思うのは、「どうして発覚したか」だが、やはり理不尽に辞めさせられた元従業員のような人々を想像してしまう。リストラへの「恨み」が、告発の背景に […]

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怒りと祈りの光源
(論評・ 2013/9/7 )

 東日本大震災のあと、あまりの惨状に文字通り絶句して、何ひとつ書けなくなった作家や詩人を私は何人も知っている。人類が解決できない放射能が拡散しつづけていて、家と家族と職業を奪われ苦しみ悲しむ被災者がいて、いまだ行方のわか […]

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