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カマキリとウマオイの間

(論評・ 2013/7/7)

光の山 書評 (執筆:陣野俊史氏)

 福島に住まう作家・玄侑宗久が「東日本大震災以後、切実な現実の推移のなかで綴った」(あとがきより)小説集だ。全部で六篇を収める。「あなたの影をひきずりながら」「蟋蟀」「小太郎の義憤」「アメンボ」「拝み虫」そして代表作「光 […]

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いまいちど

(エッセイ・ 2013/4/6)

うゐの奥山 第13回

 奄美大島の話題、第二弾である。  前回、島の名物である「鶏飯」のことに少しだけ触れたが、これがじつに旨い。しかも、「鶏飯」という名前から勝手に想像したものとはかなり違う代物なので、是非ご紹介したい。  例のファックスを […]

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白隠 厳粛かつポップな禅僧

(エッセイ・ 2012/11/12)

 白隠慧鶴禅師は貞享二(一六八五)年、駿河の国、原の宿に生まれ、明和五(一七六八)年、八十四歳で遷化(せんげ)した臨済宗の僧である。諡(おくりな)は後桜町天皇から「神機独妙禅師(しんきどくみょうぜんじ)」、明治天皇から「 […]

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偉くなった私たち

(エッセイ・ 2012/10/31)

うゐの奥山 第7回

 昔から、子どもが生まれる直前の夫の様子は、サマにならないものと決まっていた。痛みも実感もないのに、まもなく自分の境遇にとてつもない変化が起こる。これほど落ち着かない時間が男の人生に他にあるだろうか。  生まれてくるのが […]

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仕事をしたり笑ったり

(エッセイ・ 2012/9/30)

 宮澤賢治の一生は、二つの大災害に挟まれた三十七年間、と見ることもできる。生まれる二ヵ月まえに起きたのが明治三陸大地震(津波)、そして亡くなる半年まえに起きたのが昭和三陸大地震(津波)である。  生まれる以前のことはとも […]

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守られた時間と、天恵

(エッセイ・ 2012/8/1)

 世の中では「読書の秋」と言われる。しかし「食欲の秋」でもあり「スポーツの秋」でもあり、また各種イヴェントも秋には目白押しである。忙しすぎて、本など読んでいられないのではないか。  私のなかでは、やはりまとまった読書がで […]

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とり返しのつかないことを ─玄侑宗久『祈りの作法』

(論評・ 2012/7/27)

祈りの作法 書評 (執筆:大城立裕氏)

 福島県三春町に一禅刹を守る作家が、原発災害とたたかいつつある、中間報告である。  講演、ルポ、日記(三月十一日から六月二十八日まで)の三章からなり、どういう順序で読んでもよくて、右の逆順が分かりやすいかとも思うが、私は […]

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死して生まれよ ~無常と「もののあはれ」~

(エッセイ・ 2012/3/3)

「仏教の三宝印の一つ“諸行無常”。この“無常”は、とりわけ日本で発達した世界観である」――と語るのは、福島県で生まれ育った臨済宗住職であり、芥川賞作家でもある玄侑宗久氏。国難を迎えた現代日本にあって、東日本大震災復興構想 […]

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蜘蛛の中の銀

(エッセイ・ 2011/12/18)

短期集中連載 放射能と暮らす3

 三月十一日からちょうど八ヵ月が経過した十一月十一日、主に福島大学を会場にして「ふくしま会議」が開かれた。  十一日には全体会があり、十二日には「若もの会議」の他、四つのテーマによる分科会が開かれた。「いのち:子供の今、 […]

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死がまとう生の衣装

(エッセイ・ 2011/11/27)

特集「この国で死ぬということ」 スペシャルエッセイ「死を想う」

 私はこれまで、「死の周辺」と解説されるような、さまざまな小説を書いてきた。死にゆくプロセスの恍惚に思いをいたして『水の舳先』(新潮文庫)を書き、死そのものの在り方を『アミターバ』(新潮文庫)で追い求め、また死後の「中陰 […]

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この秋の、切なる願い

(エッセイ・ 2011/11/18)

短期集中連載 放射能と暮らす2

 空は高くなり、水も澄んで、佳い季節になってきた。  お寺には、例年のように、美味しそうな秋の味覚が届けられる。二本松で大々的に栗を生産している檀家のIさんは、今年も網袋入りの大粒の丹波栗を持ってきてくださり、「12ベク […]

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正義はとっても困る

(エッセイ・ 2011/10/18)

放射能と暮らす1

正義感にかられた女性からの「電話」は、福島の放射能を巡る問題を象徴するものだった――。  いま、放射能のことは、福島県内には限らない世界的な問題である。私自身も、中国やフランスの国営放送、ドイツの週刊誌「シュピーゲル」、 […]

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