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この秋の、切なる願い
(エッセイ・ 2011/11/18 )

 空は高くなり、水も澄んで、佳い季節になってきた。  お寺には、例年のように、美味しそうな秋の味覚が届けられる。二本松で大々的に栗を生産している檀家のIさんは、今年も網袋入りの大粒の丹波栗を持ってきてくださり、「12ベク […]

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正義はとっても困る
(エッセイ・ 2011/10/18 )

正義感にかられた女性からの「電話」は、福島の放射能を巡る問題を象徴するものだった――。  いま、放射能のことは、福島県内には限らない世界的な問題である。私自身も、中国やフランスの国営放送、ドイツの週刊誌「シュピーゲル」、 […]

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上野のカツオ、小名浜のカツオ
(エッセイ・ 2011/8/1 )

 三月十一日(二〇一一年)から四月の初旬まで、私はほとんど町外に出かけなかった。新幹線が止まり、高速道路も通じなかったという事情もあるが、なによりそれを使って出かける講演を全てキャンセルしてしまったのである。  ずっと以 […]

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運命の休刊
(エッセイ・ 2010/12/15 )

 大学生の頃、学校にはあまり行かず、小説を書いていた。自分の輪郭もよく分からず、「文体」にも意識は行き届かなかった。新人賞に応募しても二次選考に通らないこともあり、鬱屈した日々だった。  ところがある新人賞で最終選考に残 […]

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花散らぬ、嵐
(エッセイ・ 2010/4/11 )

 四月二日、東京五反田のIMAGICAという映像・音響施設で、映画「アブラクサスの祭」の初号試写会があった。以前そこには、自著の朗読のために行ったことがある。しかし今回は桜が満開だったせいか、少々迷いながら辿り着いた。 […]

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心の不思議 三重人格の妻
(論評・ 2010/1/9 )

 講談社は日本最大の出版社。みんなも数々のマンガや雑誌などで、きっとおなじみだろう。その講談社が昨年十二月に創業百周年を迎(むか)えた。めでたいことである。創業時のスローガンは「おもしろくて、ためになる」だったという。ぼ […]

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多様な人格持つ人間存在の闇
(論評・ 2009/12/1 )

 妻、実佐子の中にもう1人の女性がいる。知彦は、いつもの控えめな妻ではなく奔放で、底意地の悪い女性の出現に驚く。彼女は、肉体は実佐子そのものであるにもかかわらず「あたしはあいつじゃないわよ」「トモミよ」とうそぶく。精神科 […]

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まもなくクランク・アップ
(エッセイ・ 2009/11/29 )

 映画の撮影開始のことを、手回しカメラ時代のハンドル(Crank)にあやかってクランク・インと呼ぶ。今や手回しではなく、記録用のビデオさえデジタルだが、ともあれ映画『アブラクサスの祭』の撮影が始まっている。 それに先だち […]

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「多重人格」題材に人の無意識を描く
(論評・ 2009/11/27 )

 仏教啓蒙の仕事を旺盛に続けている著者の、作家としての実力のほどを窺わせる本格的な書き下ろし長編小説である。  めっぽう面白い。息を継ぐ暇もないほどの展開と、構成の妙に酔わされる。俗にいう「多重人格」、現在では「解離性同 […]

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海という暗黒
(エッセイ・ 2009/7/25 )

 私が生まれた町は海から遠く、今も私はその町に住んでいる。  その代わりというのも妙だが、町からさほど遠くないところに大きな湖があり、幼いころの私はそれを海だと思っていた。  大きな湖だし深さも百メートル近くあるから、ち […]

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精進料理、あるいはコンニャクの修行のこと
(エッセイ・ 2009/4/6 )

 精進料理と云えば、禅寺など仏教寺院に伝わるいわゆる肉魚抜きの料理を指すことが多い。しかし、どうして肉魚抜きが「精進」なのだろう。  「精進」はもともと仏教の実践法である六波羅蜜の一つ。手間暇惜しまず、結果を期待せず、と […]

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桜が枝垂れたワケ
(エッセイ・ 2009/3/31 )

 今年(二〇〇九年)の二月に朝日新聞が桜についてのアンケートを行なった。全国各地四十本の桜を予めリストアップし、そのなかから自分にとってのベスト3を選ばせたのである。  どうしてそんなに競わせたいのか分からないけれど、と […]

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