自著・共著に関する記事
著者とその本
(論評・
2004/10/1 )
独特の死生観を描いた魅力的な作品を世に送り続ける、“小説を書く僧侶”玄侑宗久氏。新作『リーラ 神の庭の遊戯』は、自殺と「共時性」がテーマの長編小説である。 自殺した二十三歳の女性・飛鳥。彼女と関わりのあった六人が、そ […]
ストーカーの魔の淵で
(論評・
2004/10/1 )
一人の若い女性の自殺をめぐる物語。著者はこれまで六冊の小説(デビュー作で芥川賞候補になった『水の舳先』、芥川賞受賞作『中陰の花』、受賞以後の『アブラクサスの祭』『化蝶散華』『御開帳綺譚』『アミターバ』)で、霊魂と救済の […]
自殺めぐり複数の視点で 玄侑宗久氏の新作『リーラ』
(論評・
2004/9/29 )
約3万4000人という史上最多の自殺者が出ているなか、僧侶で作家の玄侑宗久さんが発表した自殺をめぐる小説『リーラ 神の庭の遊戯』(新潮社)が注目されている。仏教思想に基づく「答え」の提示ではなく、息苦しい世界観を超えて […]
理屈で解けない生と死の物語
(論評・
2004/9/19 )
自殺とは何かを問い、残された人々の再生を描いた書き下ろし長編小説。23歳の女性・飛鳥の自殺から3年、整体師の弟、死を受け入れられない母親、ストーカーだった男ら6人の視点から彼女がどう生きたかが語られる。 「6人の目線 […]
この世のことは「リーラ」にまかせて
(論評・
2004/9/1 )
禅は明晰な思想である。禅僧である著者がなぜ霊魂のことや、世にオカルトと呼ばれている現象を主題とした小説を書くのかと、私は疑問を持っていた。そして、この小説を読み、その疑問が解けたように思った。 私たちが生を刻んでいる […]
「みずうみ」という魔界
(エッセイ・
2004/6/30 )
川端康成さんの作品が好きだと、どこかで書いたことがある。どこが好きかと考えてみると、むろん細やかな心理の動きを象徴するフェティッシュなまでの具体の鮮やかさ、柔らかな構成や描かれる自然の美しさなどもあるが、何より話が転換 […]
透明な軌道の、その先
(エッセイ・
2004/5/1 )
宮澤賢治について論じるなんて、猛獣の何匹もいる檻のなかに入っていくようなものかもしれない。大勢の人が本気でカンカンガクガク論じる様子は、ほんとにちょっと怖いと思う。 どうしてそうなるのかと考えると、理由が二つ思いつく […]
念ずる力―野口英世の母・シカの手紙
(エッセイ・
2004/3/31 )
手紙のことを中国では「信」と云うが、逆に「手紙」と云えばあちらではちり紙のことになってしまう。トイレットペーパーも「手紙」である。 なにもちゃかすつもりはないが、中国の「信」という表現は「手紙」よりもずいぶん重く感じ […]
ヒト脳の煩悩と悟りをユーモラスに考える 「理屈」や「価値判断」は最大の妄想だって?
(論評・
2004/2/6 )
迷い多き私にとって、禅は気になるものである。不動心をうち立てるための、ヒントがありそうで。 書店でタイトルにひかれ、まえがきをめくって「へえっ」となった。ご存じ、著者は、作家にして禅僧だが、まえがきによると、禅僧とい […]
非常識の熟成について
(エッセイ・
2004/1/31 )
たしか井上靖さんだったと思う。小説を書く人間は、なにより常識人である、というようなことをどこかで仰っていた記憶がある。 確かに多くの人々が書かれた内容に想像を膨らませ、従(つ)いてきてくれるためには、その人々の心性に […]
重松清さんのポケット バージョンアップできるかな
(論評・
2004/1/11 )
『禅的生活』はタイトルのイメージどおり人生指南の一冊だが、その種の本を敬遠する読者には「言葉の本」だと紹介しておきたい。百を超える禅語―お馴染みのものでいえば「知足(ちそく)」「日日是好日(にちにちこれこうにち)」「安 […]
仏道という「道」
(エッセイ・
2003/11/30 )
『私だけの仏教』(講談社+α新書)などという本を書いたせいだろう、なんだか凄い場所に立たされてしまった。前門のトラ、後門の狼じゃないが、後ろには各宗派の陣幕がはためき、前には編集部や読者ばかりか我が宗門の重鎮の顔が浮か […]