かつて幸田露伴は仏教の教えに基づいた「風流仏」を創作するに際し、言文一致ではない「文章」体に依拠して表現したのだが、今同じ宗教体験について創作するとしたら、表現はどうなるのだろうか。その困難なところに挑んだ作品である。 […]
書籍題名: あ・アミターバ ―無量光明【文庫】
死にゆく意識リアルに描写
タイトルの「アミターバ」とは「阿弥陀」に通じる言葉で、「無量の光」に満ちた極楽浄土のイメージを表しているらしい。 八十歳を目前にした老女が肝臓の胆管部の癌に冒される。生存率がほとんどゼロの難しい部位である。私の友人もち […]
仏教語の語る世界、移し替えたい
「死を恐れるすべての人にささげる」とうたって、作家で僧侶の玄侑宗久さんが新著『アミターバ』(新潮社)を刊行した。誰も知ることができない人の死後の姿を、臨死体験の記録などから大胆に想像した異色の小説だ。この作品にこめた思い […]
『アミターバ』~死者の目で描く往生伝~
世の中には宗教小説というものがある。「アミターバ」もある意味では宗教小説であり、仏教小説であるだろう。現役僧侶の作家が書き、その題名「アミターバ」は無量光明の意味であり、阿弥陀如来の名前そのものである。だが、これは仏教 […]
妻の母の死を看取った体験から アミターバは光に満ちた死後の世界
刊行後、読者から、死に対するイメージが変わったという反響が多数寄せられましたが、そもそもこの小説をお書きになりたいと思ったきっかけは何だったのでしょうか。 『水の舳先』というはじめて単行本になった作品があります。そこ […]
「死」を語る言葉を取り戻す試み
わたしの上顎の、右側の二本目の前歯は神経が通っていない。高校生の頃、どういう具合か歯のなかが化膿し、わたしが抜きたくないと言うと、歯科医は穴をあけてなかを洗浄し、薬を詰めてくれた。以来、それはからっぽのまま、わたしの歯 […]
真の花
桜には、複雑な思いがある。むろん私とて、桜の美しさに単純に打たれないわけじゃないのだが、桜は私にとって、単に観賞する相手では済まない存在なのである。 うちのお寺には大正五年に、四人の檀家さんによって三百五十本のソメイ […]
アミターバ ―無量光明
死の瞬間、私は発光体になって輝く世界に入った。そして……。 死を恐れるすべての人のための究極の物語。 末期ガンに侵された母。死の影を間近に感じつつも努めて明るく振舞おうとする母を、献身的に看病する娘小夜子と夫の僧慈雲。 […]
【文庫】アミターバ ―無量光明
死の瞬間、私は発光体になって輝く世界に入った。そして……。 死を恐れるすべての人のための究極の物語。 末期ガンに侵された母。死の影を間近に感じつつも努めて明るく振舞おうとする母を、献身的に看病する娘小夜子と夫の僧慈雲。 […]