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エッセイ


「竹林」……この厄介で魅力的な場所

(2018/01/09 一冊の本掲載)

 竹林とは不思議な場所である。風水ではその土地の歪みを矯正し、弱点を補うために竹を植えると聞いたこともある。また竹は地味豊かな土にしか生えないとされ、豊かな土壌の象徴でもある。  しかし最近は手が入れられず、放置されたま […]

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日曜論壇 第78回 民主主義の赤字

(2017/12/3 福島民報掲載)

 今朝もまた、ミサイルが飛んだらしい(十一月二十九日)。午前四時まえのことで、全国瞬時警報(Jアラート)も鳴らなかったから、知らない人も多いようだ。  青森県の漁師さんたちは相当緊張しただろうが、殆んどは「え? そうなの […]

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うゐの奥山 第66回 無熱の慈しみ

(2017/10/31 東京新聞ほか掲載)

 北朝鮮のミサイルが止まらない。核実験も続いている。九月十五日朝のミサイルは、襟裳岬上空を通りながら三、七○○kmを飛んだ。最早明らかにグアム島も射程内である。  韓国では同じ頃、文在寅(ムン・ジェイン)大統領が地対地弾 […]

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日曜論壇 第77回 山繭さま

(2017/10/01 福島民報掲載)

 この夏、女房が伊達市の「霊山こどもの村」で、繭(まゆ)を使ったワークショップを行なった。繭から純白の糸をほぐし、それを自分なりに膨らませた風船にもう1度巻きつけ、乾いたら風船を割る。すると自分だけの形の繭ができあがると […]

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「禅と骨」とミトワさん

(2017/09/02  映画「禅と骨」パンフレット掲載)

 私とミトワさんの接触は、さほど多かったわけではない。禅寺では毎月朔日と十五日、「祝聖(しゅくしん)」といってこの国の安泰を祈る儀式を法堂(はっとう)でするのだが、天龍寺の雲水だった私は列の後ろのほうから向かい側に立つミ […]

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うゐの奥山 第64回 こころの好縁会

(2017/08/31 東京新聞ほか掲載)

 正確には覚えていないがおそらくここ数年以上、「こころの好縁会」と銘打った講演や対談の催しに毎年招かれている。主催が岐阜県の大興寺(だいこうじ)さんと中日新聞社であるため、これまでは中部地方で開催されることが多かった。岐 […]

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日曜論壇 第76回 「言った」「言わない」

(2017/07/30 福島民報掲載)

 結婚して数年の頃か、「言った」「言わない」という論争ほど無益なものはないと悟り、記憶を頼りに正しさを主張するのはやめにした。どちらかの記憶が間違っていることもあるが、人の記憶はもともと曖昧なものだし、時と共に変質もする […]

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日曜論壇 第75回 危うい優生思想

(2017/05/28 福島民報掲載)

 デザインベビーという言葉が使われるようになって久しい。アメリカではノーベル賞受賞者の精子を高く買い、美人でグラマラスな女性の卵と受精させる、というのもあながち冗談ではないらしい。  神への冒涜、あるいは自然への挑戦と言 […]

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日曜論壇 第74回 さよならキヱさん!

(2017/03/26 福島民報掲載)

 3月16日の朝、お寺に一本の電話が入った。私をこの世に取り上げてくださった産婆さん、渡邉キヱさんが亡くなったのである。行年は103歳、みごとな大往生であった。  それは昭和31年、4月28日の夜遅くだったらしい。産婦人 […]

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「ひよわな国」と移民の問題

(2017/03/20 やくしん掲載)

 イギリスがEUという単一市場からの完全撤退を決定した。移民の問題が一番の要因だったようである。相互の人の流入を制限しないシェンゲン協定の方針にも同意せず、イギリスは物の出入り(貿易)だけは維持したかったわけだが、「それ […]

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地方自治と脳の仕組み

(2017/03/15 地方議会人掲載)

 通信網の発達により、地理的な距離が人間どうしの距離を意味しなくなってきた。遠くに住んでいても、ネットでの通信があるから親密な関係が保てると思いがちである。  しかし我々の頭には、やはり物理的な距離の遠近がどこかに意識さ […]

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見えない輪

(2017/03/01 ノジュール掲載)

 滝桜に向き合うと、私は時に「見えない輪」を二つ感じる。謎をかけるつもりはないので申し上げてしまおう。「見えない輪」とは、一つは年輪、もう一つはその子孫樹が描く巨大な円のことである。  まず年輪だが、当然ながらこれは伐ら […]

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