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エッセイ


日曜論壇 第69回 ご縁の善し悪し

(2016/05/08 福島民報掲載)

 4月16日深夜、熊本で「本震」があったとき、私はすでに布団の中だった。翌朝、新聞で大変な事態が起こったことは知ったのだが、依然として私はそこに注意を集中できずにいた。  父が亡くなり、その本葬が4月18日であったため、 […]

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日曜論壇 第68回 岳温泉のひな祭り

(2016/03/06 福島民報掲載)

 毎年三月のひな祭りの季節には、二本松市の岳温泉に出かけることになっている。「あだたら万遊博 おかみと過ごすひな祭り」というイヴェントがあり、私も講演を依頼されているのである。  岳温泉観光協会女性部と「おかみ会」の主催 […]

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うゐの奥山 第48回 西来院での偶然

(2016/03/05 東京新聞ほか掲載)

 この世に偶然などないと考える人々もいる。そういう人々にとっては、悪いことが続いたりすると深刻である。必ず原因が明確にあるはずだと考え、それがはっきりしないのは自分の力不足だと思い、自責的にもなってしまう。逆に善(よ)い […]

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桜の根元

(2016/02/02 美味しい櫻 食べる桜・見る桜・知る桜掲載)

 三春には、樹齢千年を超える瀧桜を中心に、枝垂れ桜が二千本以上、他の種類も入れると一万本以上の桜がある。東北地方では、桜の開花期がちょうど種蒔き時に重なるせいか、農業神(サ)の降り立つ場所(クラ)として、桜は特別に愛され […]

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看取り先生の遺言 2000人以上を看取った、がん専門医の「往生伝」 解説 「あの世」への旅路

(2016/01/10 看取り先生の遺言 2000人以上を看取った、がん専門医の「往生伝」掲載)

 久しぶりに充実した本を読んだ。  岡部健先生のことは、以前から聞き知ってはいた。この本にも登場する、東北大学の鈴木岩弓先生や、宮城県の金田諦應師などの口から聞いたのだと思う。  岡部先生が命名したという「臨床宗教師」の […]

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うゐの奥山 第46回 志賀島

(2016/01/09 東京新聞ほか掲載)

 先日、講演で福岡へ出かけた折に、女房と志賀島(しかのしま)まで行ってきた。全国でも珍しい砂州による陸繋島(りくけいとう)だが、今では「海の中道」という立派な道路で繋(つな)がり、潮の満ち干に関係なく車で渡れる。  志賀 […]

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鶴と亀と還暦

(2016/01/06 うえの掲載)

 還暦に思うこと、というご要望なので、一巡した丙申(ひのえさる)までの人生を些か振り返り、いま思うことを書いてみたい。  自分のこれまでの人生を省みると、どうやら私は敷かれたレールからいつも少しずれた道を歩き続けてきたよ […]

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お地蔵さんの祈り

(2016/01/06 かまくら春秋掲載)

 仏教をいくらか学んだ人なら、お地蔵さんが僧形であるワケもご存じかもしれない。僧侶が独身と決まっていた時代のことだが、僧侶ならいつでもどこへでも助けに来てくれる、「ちょっとこれから、出かけてもいいかなぁ?」などと奥さんに […]

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日曜論壇 第67回 入会地という思想

(2016/01/03 福島民報掲載)

 中間貯蔵施設が暗礁に乗り上げている。約16万平方キロの予定地に、地権者は約2400人。ところがそのうち、約1200人しか居場所や名前がわからない。残りの1200人ほどは、行方が分からなかったり、また登記の名義人が亡くな […]

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うゐの奥山 第44回 なしくずし

(2015/11/07 東京新聞ほか掲載)

 「なしくずし」は、本来は「済し崩し」と書く。返済すべき借金などを少しずつでも返し(済し)、借金の山を崩していくことである。  しかし世の中では、ここから転じた別の意味のほうを、むしろ普通に使う。手許(てもと)の辞書によ […]

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日曜論壇 第66回 オノマトペ

(2015/11/01 福島民報掲載)

 日本語にはオノマトペ、つまり擬音語・擬態語などが五千もあり、世界的にも珍しい言語らしい。たとえば近頃の私の気分も、気鬱や諦念などの漢語では表しきれず、「うんざり」としか言いようがない。  TPPという秘密交渉の、結果の […]

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「村上隆の五百羅漢図展」図録掲載 村上マンダラの深化

(2015/10/31 村上隆の五百羅漢図展 図録掲載)

自噴する修行僧のように制作を続けてきた村上隆氏が、今度は五百羅漢図を描いた。しかも見晴るかすことさえ難しい全長100メートルの大幅、高さも3メートルある代物である。戦後日本のアニメやおたく文化を入り口に、江戸期からの伝統 […]

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