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エッセイ


禅における心とかたち

(2016/10/01 うえの掲載)

 臨済禅師一一五〇年、白隠禅師二五〇年遠諱(おんき)を記念し、東京国立博物館で「禅ー心をかたちにー」展が十月十八日から開かれる。先行してこの春に京都展があったわけだが、それとはまた些か形を変え、即ち心も入れ替えて再びのお […]

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うゐの奥山 第54回 さらば、ニャン太郎!

(2016/09/30 東京新聞ほか掲載)

 お盆になると、子供の頃からいろんなことが起こったものだ。東京オリンピックの年に二匹の猫が貰われてきたのもお盆前。またその後に飼ったナムという柴系の雑種もお盆に境内に捨てられた犬だった。近所の人に拾われたスピッツは同じく […]

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日曜論壇 第71回 己の欲せざるところ

(2016/09/11 福島民報掲載)

 『新約聖書』マタイによる福音書第七章十二節には、「己の欲するところを人に施せ(Do as you would be done to)」とある。一方、『論語』には2カ所、顔淵篇(がんえんへん)と衛霊公篇(えいれいこうへん […]

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写真家 六田知弘展「火・風ノ貌 KA・FU NO BO」図録掲載 入我我入(にゅうががにゅう)

(2016/09/10 写真家 六田知弘展「火・風ノ貌 KA・FU NO BO」図録掲載)

 シャシンと聞いて、初めに「捨身」を想い、それから「ああ、写真」と思う。けれども写眞の眞とは何なのか、六田氏の作品を眺めるうちにわからなくなる。  眞は、いつかどこかに存在した束の間の時間かというと、そうでもない。印画紙 […]

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「往く」のではなく「還る」

(2016/07/18 新潮45掲載)

 臨済宗僧侶という立場上、特定の死生観を奉じていると思われるかもしれないが、むしろ逆である。つまり、多くの人々に戒名をつけ、引導を渡すことを仕事にしているため、故人それぞれの人生上のテーマを探し、それを肯定しなくてはなら […]

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日曜論壇 第70回 第三者の「推認」

(2016/07/10 福島民報掲載)

 このところ、第三者委員会というのが流行っている。東京都知事だった舛添要一さんで有名になった感があるが、じつはその前の猪瀬直樹知事の問題のときも、また小渕優子元経産大臣の会計処理問題でも活躍した。  舛添知事のときは、「 […]

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踊りだした人々

(2016/06/24 琉球新報掲載)

 福島県の住民には遙かな沖縄が、とても近く感じられることがある。基地問題と原発の問題が、やはりどこか似ているのだろうか?  現政権は積極的に原発再稼働を構想し、そのプランの中には間違いなく福島第二原発も含まれている。東京 […]

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朝日新聞読書欄「ひもとく」掲載 被災地で読む 心ひかれた 生き物の逞しさ

(2016/05/15 朝日新聞掲載)

小説家・玄侑宗久  東日本大震災のときの自分の体験を振り返ると、ふた月ちかくは本が読めなかった。親しい編集者が『方丈記』(鴨長明著、ちくま学芸文庫など)を薦めてくれ、ようやく活字に浸る久しぶりの体験をしたのだが、これは今 […]

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日曜論壇 第69回 ご縁の善し悪し

(2016/05/08 福島民報掲載)

 4月16日深夜、熊本で「本震」があったとき、私はすでに布団の中だった。翌朝、新聞で大変な事態が起こったことは知ったのだが、依然として私はそこに注意を集中できずにいた。  父が亡くなり、その本葬が4月18日であったため、 […]

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日曜論壇 第68回 岳温泉のひな祭り

(2016/03/06 福島民報掲載)

 毎年三月のひな祭りの季節には、二本松市の岳温泉に出かけることになっている。「あだたら万遊博 おかみと過ごすひな祭り」というイヴェントがあり、私も講演を依頼されているのである。  岳温泉観光協会女性部と「おかみ会」の主催 […]

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うゐの奥山 第48回 西来院での偶然

(2016/03/05 東京新聞ほか掲載)

 この世に偶然などないと考える人々もいる。そういう人々にとっては、悪いことが続いたりすると深刻である。必ず原因が明確にあるはずだと考え、それがはっきりしないのは自分の力不足だと思い、自責的にもなってしまう。逆に善(よ)い […]

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桜の根元

(2016/02/02 美味しい櫻 食べる桜・見る桜・知る桜掲載)

 三春には、樹齢千年を超える瀧桜を中心に、枝垂れ桜が二千本以上、他の種類も入れると一万本以上の桜がある。東北地方では、桜の開花期がちょうど種蒔き時に重なるせいか、農業神(サ)の降り立つ場所(クラ)として、桜は特別に愛され […]

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