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エッセイ


鍋の功徳

(2016年12月1日 てんとう虫掲載)

 冬になると、鍋を囲みたくなる。鍋をつつくでも、鍋料理を頂くでもいいのだが、やはり鍋といえば「囲む」という言い方が似つかわしい。独りで囲むことはできないから、そこには当然家族の団欒があり、また客との交歓がある。  以前、 […]

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うゐの奥山 第56回 南山に雲起こり……。

(2016年11月30日 東京新聞ほか掲載)

 禅語に、「南山に雲起こり、北山に雨下(ふ)る」という言葉がある。辞書によっては「雲を起こし」「雨を下(くだ)す」と訓じているが、これは中国語独特の表現であくまでも自発。他動詞的に訳すと余計な意味が付着する。  そんなこ […]

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日曜論壇 第72回 イスラム社会と向き合う

(2016年11月13日 福島民報掲載)

 イスラム社会の存在感がなんとなく増大している。しかも日本人には、ムスリム(イスラム教徒)についての知識が少ないから、IS(イスラム国)との区別もつかず、ただ怯えを増大させているかに思える。  イスラム社会といえば、すぐ […]

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禅における心とかたち

(2016年10月1日 うえの掲載)

 臨済禅師一一五〇年、白隠禅師二五〇年遠諱(おんき)を記念し、東京国立博物館で「禅ー心をかたちにー」展が十月十八日から開かれる。先行してこの春に京都展があったわけだが、それとはまた些か形を変え、即ち心も入れ替えて再びのお […]

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うゐの奥山 第54回 さらば、ニャン太郎!

(2016年9月30日 東京新聞ほか掲載)

 お盆になると、子供の頃からいろんなことが起こったものだ。東京オリンピックの年に二匹の猫が貰われてきたのもお盆前。またその後に飼ったナムという柴系の雑種もお盆に境内に捨てられた犬だった。近所の人に拾われたスピッツは同じく […]

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日曜論壇 第71回 己の欲せざるところ

(2016年9月11日 福島民報掲載)

 『新約聖書』マタイによる福音書第七章十二節には、「己の欲するところを人に施せ(Do as you would be done to)」とある。一方、『論語』には2カ所、顔淵篇(がんえんへん)と衛霊公篇(えいれいこうへん […]

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写真家 六田知弘展「火・風ノ貌 KA・FU NO BO」図録掲載 入我我入(にゅうががにゅう)

(2016年9月10日 写真家 六田知弘展「火・風ノ貌 KA・FU NO BO」図録掲載)

 シャシンと聞いて、初めに「捨身」を想い、それから「ああ、写真」と思う。けれども写眞の眞とは何なのか、六田氏の作品を眺めるうちにわからなくなる。  眞は、いつかどこかに存在した束の間の時間かというと、そうでもない。印画紙 […]

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「往く」のではなく「還る」

(2016年7月18日 新潮45掲載)

 臨済宗僧侶という立場上、特定の死生観を奉じていると思われるかもしれないが、むしろ逆である。つまり、多くの人々に戒名をつけ、引導を渡すことを仕事にしているため、故人それぞれの人生上のテーマを探し、それを肯定しなくてはなら […]

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日曜論壇 第70回 第三者の「推認」

(2016年7月10日 福島民報掲載)

 このところ、第三者委員会というのが流行っている。東京都知事だった舛添要一さんで有名になった感があるが、じつはその前の猪瀬直樹知事の問題のときも、また小渕優子元経産大臣の会計処理問題でも活躍した。  舛添知事のときは、「 […]

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踊りだした人々

(2016年6月24日 琉球新報掲載)

 福島県の住民には遙かな沖縄が、とても近く感じられることがある。基地問題と原発の問題が、やはりどこか似ているのだろうか?  現政権は積極的に原発再稼働を構想し、そのプランの中には間違いなく福島第二原発も含まれている。東京 […]

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朝日新聞読書欄「ひもとく」掲載 被災地で読む 心ひかれた 生き物の逞しさ

(2016年5月15日 朝日新聞掲載)

小説家・玄侑宗久  東日本大震災のときの自分の体験を振り返ると、ふた月ちかくは本が読めなかった。親しい編集者が『方丈記』(鴨長明著、ちくま学芸文庫など)を薦めてくれ、ようやく活字に浸る久しぶりの体験をしたのだが、これは今 […]

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日曜論壇 第69回 ご縁の善し悪し

(2016年5月8日 福島民報掲載)

 4月16日深夜、熊本で「本震」があったとき、私はすでに布団の中だった。翌朝、新聞で大変な事態が起こったことは知ったのだが、依然として私はそこに注意を集中できずにいた。  父が亡くなり、その本葬が4月18日であったため、 […]

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