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エッセイ


日曜論壇 第62回 臆病になる勇気

(2015/02/22 福島民報掲載)

 このところ、あちこちで安倍総理の「テロに屈しない」という言葉を目にし、耳にする。なるほど何かに屈するというのは、格好が悪いしぶざまにも思えるのだろう。この言葉が割とスンナリ受け容れられているかに思えるのは、何事にも屈す […]

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月刊「大法輪」2015年2月号掲載 巻頭墨跡「風流」

(2015/01/08 月刊大法輪掲載)

 すでに十一世紀には白雲守端(しゅたん)禅師が禅語として用い、「風流ならざる処もまた風流(不風流処也風流)」と言った。どんなに無様(ぶざま)な事態に陥(おちい)っても、やがて揺らいで重心を取り直し、「ゆらぎ」そのものを風 […]

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村田喜代子 光線 解説 地霊の王国へ

(2015/01/05 光線 文庫版掲載)

 私は以前、自分なりに「地霊」という隠しテーマをもって、『四雁川流景』(文春文庫)という短編集を上梓したことがある。それはある想像上の町の、古代から積み重なった大地の記憶を覗く程度の、ささやかな物語であった。  今回、村 […]

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みちのくの御仏(みほとけ)たち

(2015/01/01 うえの掲載)

 「みちのく」つまり「道奥」が、けっして蔑称ではなく、ある種の畏怖を伴った尊称だと知ったのはいつ頃だったろうか。 思えばあらゆる文化的伝統を「道」として捉える日本人にとって、その「奥」は誰もが「ゆかしい」と思う場所なはず […]

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日曜論壇 第61回 選挙「権」について

(2014/12/21 福島民報掲載)

 討ち入りの日の選挙が呆気(あっけ)なく終わった。呆気なくというのは、予想通りの結果と共に、ということである。  今回の選挙で自民党は、議論のテーマを「アベノミクスの是非」に絞り込んだ。「経済の復興は、大切ですか、そうで […]

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うゐの奥山 第33回 桃林の誓い

(2014/12/06 東京新聞ほか掲載)

 十一月の初旬、石垣島の桃林寺(とうりんじ)さんというお寺の開創四百年祭にお招きいただき、初めて石垣島にお邪魔してきた。昨年島の空港が新しくなり、羽田からの直行便も増えて便利だが、新鮮な異文化体験だったのでご報告してみた […]

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特集 宗教を巡って 社会不安と宗教の移ろい

(2014/12/05 學鐙掲載)

 昔から、社会不安と宗教の興隆変化には、一定の因果関係が認められるように思う。簡単に言えば、社会不安が増大することである種の宗教が流行したり、あるいは宗教の内部に変化が起こったりするということだ。宗教である以上、変わらぬ […]

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風に吹かれて遍路旅

(2014/10/24 四国遍路と巡礼の旅掲載)

 洋の東西を問わず、人間には旅が必要だという認識は、共通しているように思う。  たとえばカール・ブッセの「山のあなた」(上田敏訳『海潮音』所収)では、幸いが山のあなたにあるという思い込みが捨てられない。だから一部の人は、 […]

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日曜論壇 第60回 翁忌(おきなき)に思う

(2014/10/19 福島民報掲載)

 「翁忌」というのをご存じだろうか。旧暦の十月十二日のことで、松尾芭蕉の命日である。現在の暦ではすでに過ぎたけれど、旧暦で言うならこれからだ。  「翁」と呼ばれる人は、この国では神に近い存在として尊ばれている。現代人とい […]

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「最後の希望」としての幽霊たち

(2014/10/17 大法輪 11月号掲載)

 東日本大震災以後、東北の被災地では「幽霊」の目撃譚が非常に多く聞かれる。二〇一三年七月には京都大学「こころの未来研究センター」が「被災地の幽霊」を主題にしたシンポジウムを開いた。今や、幽霊が学術的な研究対象になる事態な […]

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余白の美

(2014/09/08 弘道 第1091号掲載)

 禅宗では修行者の指導に当たる人々を「老師」と呼ぶ。なかには二十代、三十代からそう呼ばれる人もいるが、とにかく免許皆伝になれば、皆「老師」である。  なにゆえここに「老」という文字を使うのか、考えてみよう。  仏教は人生 […]

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うゐの奥山 第29回 驚くべき「共生」

(2014/08/31 東京新聞ほか掲載)

 何年かまえ、ヒトゲノムつまり人間の遺伝子の解読に、各国の学者さんたちが必死になっていた。皆、それが分かったら人間の設計図が分かるのだと、ずいぶん期待しながら待っていたような気がする。どうやら三十億の塩基配列はすべて解読 […]

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