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エッセイ


日曜論壇 第66回 オノマトペ

(2015年11月1日 福島民報掲載)

 日本語にはオノマトペ、つまり擬音語・擬態語などが五千もあり、世界的にも珍しい言語らしい。たとえば近頃の私の気分も、気鬱や諦念などの漢語では表しきれず、「うんざり」としか言いようがない。  TPPという秘密交渉の、結果の […]

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「村上隆の五百羅漢図展」図録掲載 村上マンダラの深化

(2015年10月31日 村上隆の五百羅漢図展 図録掲載)

自噴する修行僧のように制作を続けてきた村上隆氏が、今度は五百羅漢図を描いた。しかも見晴るかすことさえ難しい全長100メートルの大幅、高さも3メートルある代物である。戦後日本のアニメやおたく文化を入り口に、江戸期からの伝統 […]

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養老孟司 考えるヒト 解説 自然史派のplayfulness

(2015年10月7日 考えるヒト 文庫版掲載)

 養老先生の本を読む楽しさは、まず何より専門性と総合性が共に味わえることだろう。簡単に言えば深くて広い、ということだが、しかも古きを踏まえ、新しきも充分取り込み、その都度新たに統合されている。思えばこれは、大脳皮質の連合 […]

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うゐの奥山 第42回 立秋とお盆

(2015年9月5日 東京新聞ほか掲載)

 立秋は二十四節気の一つで、今年は八月八日だった。この原稿は八日の晩に書いているのだが、今朝も日没後も確かに風が変わったと感じ、調べてみたら今日がまさに立秋だったのである。  立秋を境に、朝吹く風だけでなく、空もスッと高 […]

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「レールの向こう」書評 「レールの向こう」への覚悟

(2015年8月31日 波掲載)

 沖縄に出かけるたびに大城先生にお目にかかる。初めは二〇〇四年か〇三年か、巫女(ユタ)や神女(のろ)さんを御紹介いただき、『リーラ 神の庭の遊戯』という作品を膨らますことができた。モノレールにほど近いご自宅にもお邪魔し、 […]

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日曜論壇 第65回 「洗い」と「石場建て」

(2015年8月30日 福島民報掲載)

 本堂の改修工事がほぼ終わり、あとは漆塗りなど一部を残すだけになった。山形の加藤工匠の棟梁ほか3人の大工さん、銅屋根を葺(ふ)いてくれた小野工業や鳶(とび)職の面々、左官屋さん、建具屋さんに畳屋さん、そして電機屋さんや洗 […]

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日曜論壇 第64回 牛五郎の恋と平和

(2015年6月28日 福島民報掲載)

 6月、皐月(さつき)が咲く頃に、今年もウシガエルの牛五郎が池で鳴きだした。我々夫婦が勝手に「牛五郎」と呼んでいるのだが、まだ姿は見たことがない。以前はよく考えもせず、どこかから来るのだと思い込んでいたが、どうも彼らは池 […]

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日曜論壇 第63回 さまざまの事

(2015年4月26日 福島民報掲載)

 桜が今年も咲き、大勢の人々が三春の町にやってきた。昔から「年々歳々花相似たり 歳々年々人同じからず」と言うが、今年は特に「人同じからず」を強く思った。  歳々年々人同じからずとは、本来は同じ人の年齢による感受性の変化の […]

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香りと清浄心

(2015年3月28日 なごみ掲載)

 香だけはいくら贅沢しても、僧侶にとって贅沢とは言えないと、何度か聞いたことがある。近年では、臨済宗妙心寺派の管長だった山田無文老師がよくそう仰っていた。おそらくそれは香の魅力、いや威力、あるいは魔力を知悉されてのことだ […]

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日曜論壇 第62回 臆病になる勇気

(2015年2月22日 福島民報掲載)

 このところ、あちこちで安倍総理の「テロに屈しない」という言葉を目にし、耳にする。なるほど何かに屈するというのは、格好が悪いしぶざまにも思えるのだろう。この言葉が割とスンナリ受け容れられているかに思えるのは、何事にも屈す […]

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月刊「大法輪」2015年2月号掲載 巻頭墨跡「風流」

(2015年1月8日 月刊大法輪掲載)

 すでに十一世紀には白雲守端(しゅたん)禅師が禅語として用い、「風流ならざる処もまた風流(不風流処也風流)」と言った。どんなに無様(ぶざま)な事態に陥(おちい)っても、やがて揺らいで重心を取り直し、「ゆらぎ」そのものを風 […]

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村田喜代子 光線 解説 地霊の王国へ

(2015年1月5日 光線 文庫版掲載)

 私は以前、自分なりに「地霊」という隠しテーマをもって、『四雁川流景』(文春文庫)という短編集を上梓したことがある。それはある想像上の町の、古代から積み重なった大地の記憶を覗く程度の、ささやかな物語であった。  今回、村 […]

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