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エッセイ


もう、理屈ではなく

(2012/03 いまこそ私は原発に反対します。掲載)

 原発をどう思うのか。その問題に、理屈は要らなくなった。理屈ぬきに、駄目である。  まるで身内や恋人を徴兵で取られようとする女性のような物言いだと思われるかもしれない。「君、死にたまふことなかれ」与謝野晶子の文章にも、感 […]

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福島・三春町だより 風化

(2012/02 NHKカルチャーメンバーズ倶楽部(NHK文化センター機関誌)掲載)

 世の中にはじつにさまざまな「風化」がある。長年の風雪で崖がなだらかになり、川の石が丸みをおび、あるいは作りたての仏像が数百年経って味わい深くなったりする。それによって我々の祖先たちは、「わび」や「さび」などの新たな美意 […]

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日曜論壇 第44回 ダルマの一文字

(2012/01/15 福島民報掲載)

 巨大なダルマの腹にその年の希望の一字を入れる行事も今年で3年目になる。  京都・清水寺の貫主さまが一年を振り返って揮毫(きごう)されるのに対し、こちらは新年の希望を込める。もともと「正月」とは禅寺の「修正会(しゅしょう […]

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短期集中連載 放射能と暮らす3 蜘蛛の中の銀

(2011/12/18 新潮45掲載)

 三月十一日からちょうど八ヵ月が経過した十一月十一日、主に福島大学を会場にして「ふくしま会議」が開かれた。  十一日には全体会があり、十二日には「若もの会議」の他、四つのテーマによる分科会が開かれた。「いのち:子供の今、 […]

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鉢の木

(2010/12/10 文藝春秋掲載)

 八十五歳の父は、もう一年半あまり入院生活を続けている。三度目の脳梗塞を起こし、右半身がきっちり喉まで利かなくなってしまった。  喉が半分利かないということは、食べたものがいつ気管に入ってもおかしくない。健康人でも、誰も […]

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「新しい感性」を待ちながら

(2011/11/30 Kototoi 第1号掲載)

 三月十一日の東日本大震災とそれに続く福島第一原発の事故は、さまざまな意味でこの日本社会に変化をもたらし、そして更なる変化を促しているような気がする。  まず誰もが感じたであろう大きな変化は、この国が火山列島であることを […]

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特集「この国で死ぬということ」 スペシャルエッセイ「死を想う」 死がまとう生の衣装

(2010/11/27 文藝春秋SPECIAL 2011年季刊冬号掲載)

 私はこれまで、「死の周辺」と解説されるような、さまざまな小説を書いてきた。死にゆくプロセスの恍惚に思いをいたして『水の舳先』(新潮文庫)を書き、死そのものの在り方を『アミターバ』(新潮文庫)で追い求め、また死後の「中陰 […]

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短期集中連載 放射能と暮らす2 この秋の、切なる願い

(2011/11/18 新潮45掲載)

 空は高くなり、水も澄んで、佳い季節になってきた。  お寺には、例年のように、美味しそうな秋の味覚が届けられる。二本松で大々的に栗を生産している檀家のIさんは、今年も網袋入りの大粒の丹波栗を持ってきてくださり、「12ベク […]

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福島・三春町だより 危うい、予防意識

(2011/11/10 NHK文化センター機関誌掲載)

 病気には何より予防が大切である。それは貝原益軒の『養生訓』にだって書いてある。間違いはないと思う。  しかし予防意識も、行き過ぎると事によっては恐ろしいことになる。自転車で怪我をしないように、自転車を禁じられていた友人 […]

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日曜論壇 第43回 原発とTPP

(2011/11/06 福島民報掲載)

 どうにもふざけた話が持ち上がっている。環太平洋経済連携協定(TPP)である。当初はシンガポール、チリ、ブルネイ、ニュージーランドなど小国が提携することで市場での競争力を上げようという試みだったわけだが、昨年10月以降、 […]

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聖なる赤い糸玉

(2010/11/02 ふくしまうるし物語(会津・漆の芸術祭)掲載)

 あらゆる宗教の核に存在する「聖なるもの」を「ヌミノーゼ」と名づけ、その非合理な二面性を指摘したのは、ドイツの宗教哲学者、ルドルフ・オットー(1869~1937)だった。オットーによれば、人はその「聖なるもの」の前でまず […]

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東日本大震災へ心を寄せて 明日へつなぐ希望 三春駒さまへ

(2011/11/1 家庭画報掲載)

私が生まれるずっと前から、凜々しい木馬になっていた三春駒さま、 初めてお便りします。 あなたは関ヶ原で名を挙げ、その誉が見張るの人形となって顕彰されましたが、 じつは愛姫の母上が相馬藩から田村清顕公に嫁がれたとき、 持参 […]

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