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エッセイ


「精神の自由ということ」書評 信じる人にも、信じない人にも

(2009/12/16 季刊scripta掲載)

 この本のタイトルを見れば、たいていの禅僧は振り向くだろう。「精神の自由」とは、禅の中心テーマでもあるからだ。そして本を手にとって目次を見ると、簡潔な章立てだけが書かれている。曰く「宗教なしですませられるだろうか」「神は […]

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日曜論壇 第32回 まもなくクランク・アップ

(2009/11/29 福島民報掲載)

 映画の撮影開始のことを、手回しカメラ時代のハンドル(Crank)にあやかってクランク・インと呼ぶ。今や手回しではなく、記録用のビデオさえデジタルだが、ともあれ映画『アブラクサスの祭』の撮影が始まっている。 それに先だち […]

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月刊武道 巻頭エッセイ 雲水と入道

(2009/09/28 月刊武道掲載)

 禅の修行者のことを、昔から雲水という。行雲流水の略で、行く雲や流れる水のように滞ることなく自由に求道の旅をすることから名づけられたらしい。  滞らない、というのは、守るべきものや所有するものがないということだ。全くない […]

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日曜論壇 第31回 新作『阿修羅』のこと

(2009/09/27 福島民報掲載)

 十月八日に、久しぶりの長編小説『阿修羅』が刊行になる。講談社が創立百周年に当たって百冊の書き下ろし本を刊行するのだが、そのうちの一冊として書いたものだ。  依頼は二年ちかくまえにあり、そのときから「解離」という現代の病 […]

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私だけの「みかえり阿弥陀」さま

(2009/09/26 一個人特別編集版「仏像入門」掲載)

 以前、『私だけの仏教』(講談社+α新書)という本を書いたとき、表紙に仏像の写真を使いたいのでお好きな仏像を教えてくださいと編集者に言われた。私は迷わず永観堂の「みかえり阿弥陀」像を挙げた。結局表紙には三体の仏像の写真が […]

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海という暗黒

(2009/07/25 TASHINAMI 夏号掲載)

 私が生まれた町は海から遠く、今も私はその町に住んでいる。  その代わりというのも妙だが、町からさほど遠くないところに大きな湖があり、幼いころの私はそれを海だと思っていた。  大きな湖だし深さも百メートル近くあるから、ち […]

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巻頭リレーエッセイ 体に相談

(2009/07/01 月刊武道掲載)

 このところ、長編小説を書きだし、同時に剣道の素振りを始めた。  最初は十回、翌日は二十回と毎日十回ずつ増やしていったのだが、あるとき仲間の和尚で合気道をしている人から、「筋肉をつけたいなら、毎日よりも一日おきのほうが効 […]

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日曜論壇 第30回 さまざまな立場

(2009/06/21 福島民報掲載)

 このところ墓地内に建設中の永代供養墓のことでいろんなことを考える。大勢の人々がそれぞれの立場から協力してくださり、それがとてもありがたいのだが、時にはその立場の違いで意見の違いが出てくる。今問題になっているのは、屋根の […]

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日曜論壇 第29回 生物多様性と多文化共生

(2009/05/24 福島民報掲載)

 このところ環境問題のほうでは、生物多様性ということがよく言われる。より多くの生物が共生できる環境こそ素晴らしいという考え方に異論はないのだが、この場合、どういうわけか帰化植物や外国からやってきた虫などは嫌われる傾向にあ […]

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写真集「極楽園」推薦文 油断した仏像たち

(2009/04/20 写真集「極楽園」掲載)

 仏師は、あらかじめ木の中に眠っている仏の姿を彫りだすのだと云われる。ならばその仏像を撮る場合にはどうなのか。  三好和義氏の写真を見つめていると、これまでの仏像写真にはあまり感じなかった心の躍動を感じる。仏師がある姿を […]

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精進料理、あるいはコンニャクの修行のこと

(2009/04/06 文藝春秋5月臨時増刊号「くりま」掲載)

 精進料理と云えば、禅寺など仏教寺院に伝わるいわゆる肉魚抜きの料理を指すことが多い。しかし、どうして肉魚抜きが「精進」なのだろう。  「精進」はもともと仏教の実践法である六波羅蜜の一つ。手間暇惜しまず、結果を期待せず、と […]

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巻頭リレーエッセイ 「翁」の言葉

(2009/04/01 月刊武道掲載)

 ある和尚さんがこんなことをおっしゃっていた。若いときはいろいろ主張もあるだろうし、仏教や禅の指導もしたいかもしれない。信念をもち、それを世に問うのも、むろん悪いことじゃない。しかし年をとったらなァ、坊さんは三つの言葉で […]

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