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エッセイ


日曜論壇 第24回 私は裁きません!

(2008/06/15 福島民報掲載)

 このところ、あまりに重要な取り決めがたいした議論を経ないでストンと決まることが多い気がする。「裁判員制度」もそうだ。私が世間知らずなだけかもしれないが、少なくとも騒ぎになったときにはもう決まっていた観がある。  調べる […]

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お坊さんだって怒ってる

( 掲載)

あの国の真似やめてほしい  標記のタイトルで原稿を受けてしまったものの、その後海の向こうでは多くのお坊さんたちが本当に怒りだした。ビルマでも、チベットでも、またそれを受けて世界中のお坊さんたちも怒っている。彼らの深く潜行 […]

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日曜論壇 第23回 なんのための改名か!

(2008/04/13 福島民報掲載)

 このところ、聾学校を「聴覚支援学校」と改名しようとして、当の聾学校の人々の反撥を招いている。つまり、彼らは「聾」という言葉に誇りさえ持っているのに、「支援されるべき」人々と見られたことでその誇りが傷つけられたのである。 […]

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不自然な自然

(2008/03/28 月刊武道掲載)

 今日たまたま歯医者さんに出かけていて、なぜかトウモロコシを憶いだした。  歯並びの写真が直接的にトウモロコシに似ていたのだから、「なぜか」というのも当たらないほど飛躍のない話である。  それはともかく、トウモロコシがど […]

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日曜論壇 第22回 新しい郵便局にお願い

(2008/02/10 福島民報掲載)

 またしても、郵便局で嫌な思いをしてしまった。承知はしているのについ忘れてしまい、よく知っている職員に、自分を証明する免許証か保険証の提示を求められ、私は俄かに湧き起こる不快感を抑えることができなかった。  昨年一月から […]

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「キュア」書評 最初の読者から ガンと自然への遠大な試み

(2008/02/01 一冊の本掲載)

 田口ランディさんという方は、きっといろんな人や世界と親しくなる能力に恵まれているのだろう。彼女の書く小説では、いつも作者と登場人物が親しく、分身のようだと感じることも多い。  そんな彼女がガンそのものをテーマに描くとい […]

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嵐山は煙雨

(2008/01/22 中外日報掲載)

 一月九日午後五時すぎ、ちょうど平田精耕老師が遷化されたその頃、私はなぜか老師の書かれた文章を読み返していた。頼まれた原稿を書く資料を見に書庫に入り、そこでたまたま目についた老師の文章を読みだしたらやめられなくなり、部屋 […]

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巻頭リレーエッセイ 信じる “からだ”

(2008/01/01 月刊武道掲載)

 「信」という文字は、もともと神の前で、人との間に約束したことを指した。 “からだ”が変わりつづけ、すべてが変わりつづけていくなかで、変わらない言葉を信じようとしたのは洋の東西を問わない出来事だったのだろう。  中国では […]

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我が家のお正月のしきたり

(2007/12/10 月刊PHP掲載)

 我が家には正月のしきたりが、ありすぎるほどある。これは我が家というより、長年のお寺の習慣である。ここでは、そのなかでわりと一般的なものを紹介しよう。  元朝(がんちょう)の四時に起きて若水(わかみず)を本堂に供え、五時 […]

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日曜論壇 第21回 未然防止策?

(2007/12/09 福島民報掲載)

 以前、私はあるエッセイに、入国に際して指紋や写真を要求し、容疑者扱いするような国には今後永久に行かないだろうと書いた。すると編集者が気を利かせ、「これはちょっと過激すぎませんか」と言うから、助言に感謝しつつ「この制度が […]

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名作ここが読みたい ジロリの女(坂口安吾) どこまでも平行線の宿命 切ない求道の物語「ジロリの女」

(2007/10/20 週刊KODOMO新聞掲載)

主人公の40代の男、ゴロー三船は、知的で気の強い女性を「ジロリの女」と呼ぶ。そういうタイプの女性は、心を見抜くように三船の顔を冷たくジロリと見るからだ。誰にでも軽口やお世辞を言う調子のいい男、三船は、苦手な「ジロリの女」 […]

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日曜論壇 第20回 奈落の月

(2007/10/07 福島民報掲載)

 今年の仲秋の名月は、九月二十五日だった。坐禅会の終わった十時すぎに夜空を見上げると、薄曇りではあったがそれでも大きな月がかかっていた。  上座部仏教圏では、お釈迦さまが生まれたのも成道されたのも、亡くなったのも満月の日 […]

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