エッセイ
巻頭リレーエッセイ 体に相談
(2009/07/01 月刊武道掲載)
このところ、長編小説を書きだし、同時に剣道の素振りを始めた。 最初は十回、翌日は二十回と毎日十回ずつ増やしていったのだが、あるとき仲間の和尚で合気道をしている人から、「筋肉をつけたいなら、毎日よりも一日おきのほうが効 […]
日曜論壇 第30回 さまざまな立場
(2009/06/21 福島民報掲載)
このところ墓地内に建設中の永代供養墓のことでいろんなことを考える。大勢の人々がそれぞれの立場から協力してくださり、それがとてもありがたいのだが、時にはその立場の違いで意見の違いが出てくる。今問題になっているのは、屋根の […]
日曜論壇 第29回 生物多様性と多文化共生
(2009/05/24 福島民報掲載)
このところ環境問題のほうでは、生物多様性ということがよく言われる。より多くの生物が共生できる環境こそ素晴らしいという考え方に異論はないのだが、この場合、どういうわけか帰化植物や外国からやってきた虫などは嫌われる傾向にあ […]
写真集「極楽園」推薦文 油断した仏像たち
(2009/04/20 写真集「極楽園」掲載)
仏師は、あらかじめ木の中に眠っている仏の姿を彫りだすのだと云われる。ならばその仏像を撮る場合にはどうなのか。 三好和義氏の写真を見つめていると、これまでの仏像写真にはあまり感じなかった心の躍動を感じる。仏師がある姿を […]
精進料理、あるいはコンニャクの修行のこと
(2009/04/06 文藝春秋5月臨時増刊号「くりま」掲載)
精進料理と云えば、禅寺など仏教寺院に伝わるいわゆる肉魚抜きの料理を指すことが多い。しかし、どうして肉魚抜きが「精進」なのだろう。 「精進」はもともと仏教の実践法である六波羅蜜の一つ。手間暇惜しまず、結果を期待せず、と […]
巻頭リレーエッセイ 「翁」の言葉
(2009/04/01 月刊武道掲載)
ある和尚さんがこんなことをおっしゃっていた。若いときはいろいろ主張もあるだろうし、仏教や禅の指導もしたいかもしれない。信念をもち、それを世に問うのも、むろん悪いことじゃない。しかし年をとったらなァ、坊さんは三つの言葉で […]
桜が枝垂れたワケ
(2009/03 Monmo掲載)
今年(二〇〇九年)の二月に朝日新聞が桜についてのアンケートを行なった。全国各地四十本の桜を予めリストアップし、そのなかから自分にとってのベスト3を選ばせたのである。 どうしてそんなに競わせたいのか分からないけれど、と […]
「白隠禪画墨蹟」推薦文 白隠禪画墨蹟
(2009/03/23 「白隠禪画墨蹟」案内掲載)
芳澤先生は、白隠病である。この病気は白癬菌とは関係ないが、周囲にも感染する。 どうやら私もうつってしまったようだ。初めてお目にかかったとき、一緒に風呂にはいり、同じ部屋で寝たのが決定的だった。 禅師の墨蹟は、芳澤先 […]
日曜論壇 第28回 団子と頭痛
(2009/03/08 福島民報掲載)
県内だけでなく、けっこう広い地域に云い伝わることだが、お墓参りのときにお供えした団子を食べると頭が痛くならないという。 僧侶になりたての時は、莫迦な迷信とも思い、またそれなら団子にバファリンやノーシンでも入れたらどう […]
甘みの旨味
(2009/02/21 あま味(菓匠・榮久堂が発行する冊子)掲載)
『荘子』では、「甘」という文字が「うまい」という意味で使われている。お釈迦さまの誕生を祝福したのも「甘い雨」、甘露だった。やはり人間の甘いものに対する欲求は、最も根源的なのだろうと思う。 いつ頃からだろうか。現代人は […]
モノからコトへ ~妙心寺展に寄せて~
(2009/02/01 うえの掲載)
上野の国立博物館・平成館で、妙心寺展が行なわれている。なにしろ開山(初代住職)である関山慧玄(かんざんえげん)禅師の六百五十年遠諱(おんき)を記念しての一大イヴェントだから、これまでなかなか人目に触れなかった国宝、重要 […]
日曜論壇 第27回 さまざまな正月
(2009/01/11 福島民報掲載)
毎年お寺のお正月は、檀家さんからの年始受けやこちらからの年始廻りで慌ただしい。こちらからお邪魔するのはお寺独特の用語で「配札(はいさつ)」というのだが、要するに元朝に祈祷した御札を配り歩き、各家の一年の清安を祈るのであ […]