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エッセイ


日曜論壇 第110回 危険な便利さ

(2023/06/04 福島民報掲載)

 このところ、平穏な日常を突然脅(おびや)かすような事件が相次いでいる。「ルフィ」の指示による全国の強盗事件、あるいは銀座の店での白昼の狼藉(ろうぜき)など、何の因縁もない人々を突然に巻き込む凶悪犯罪である。安全でモラル […]

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特集 宗教×文学 宗教って何?

(2023/05/31 季刊文科92号掲載)

 数年前、カトリック教会の神父さんたちに招かれて講演する機会があった。講演の前後に伺った話では、日曜学校に人が集まらなくて困っているという。恰度東日本大震災の二〇一一年頃からスマートフォンが爆発的に普及しはじめたが、時期 […]

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天真を養う 第15回 なんとかなるさ

(2023/05/01 墨 2023年5・6月号 282号(芸術新聞社)掲載)

「五言草書幅」 愚極礼才 紙本墨書 一幅 91×31 ふくやま書道美術館蔵  宋代に達磨関係の文書をまとめた『少室六門集』に次の文章がある。「吾れ本(も)と茲(こ)の土(ど)に来たり、法を伝えて迷情(めいじょう)を救う。 […]

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日曜論壇 第109回 文化の力

(2023/04/02 福島民報掲載)

 ロシアがとうとうウクライナの図書館を破壊しはじめた。いわゆる「焚書(ふんしょ)」で、ウクライナを文化ごと滅ぼそうというのだろう。  焚書といえば始皇帝の「焚書坑儒(こうじゅ)」を憶(おも)いだす。実用書以外の諸子百家の […]

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同期の桜、桜の同期

(2023/03/01 うえの 2023年3・4月合併号掲載)

 冬の境内を歩いていると、よく桜の枯れ枝を見つける。木枯らしに耐えかね、折れたのだろう。土に還ることを想い、私はそのまま歩き去る。昔から「桜切る莫迦、梅切らぬ莫迦」などと言うが、桜の古枝はこうして厳しい自然が静かに淘汰し […]

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天真を養う 第14回 「坐」ってリセット

(2023/03/01 墨 2023年3・4月号 281号(芸術新聞社)掲載)

 日本人の日本人らしさとは何なのかと、たまに考えることがある。昔の答えは「布団の上げ下ろし」と「正坐」だった。オンドルに布団を敷いたままの韓国人と、北宋の時代からベッドを使った中国人に対し、日本人はつい最近まで布団を上げ […]

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日曜論壇 第108回 粘り強い知力

(2023/01/29 福島民報掲載)

 先日、双葉町の東日本大震災・原子力災害「伝承館」で、二日にわたる興味深い催しに参加した。初日は伝承館の上級研究員である開沼博さんと私との対談、そして夜の懇親会を挟み、二日目は参加者も交えた全員の「対話」である。開沼さん […]

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『紫野』連載エッセイ 第2回 授戒と白木槿(しろむくげ)

(2023/01/01 『紫野』第62号(臨済宗大本山大徳寺)掲載)

 先日、三年前に旦那さんを亡くされた奥さんが、自分も受戒して戒名を授かりたいと、手紙をくださった。早速日程を決め、授戒会を行なったのだが、私自身「戒」について考える良い機会だったのでご報告したい。  戒は本来、生前に授か […]

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天真を養う 第13回 「一」という体験

(2023/01/01 墨 2023年1・2月号 280号(芸術新聞社)掲載)

清巌宗渭筆「一」一大字 清巌宗渭 慶應義塾蔵(センチュリー赤尾コレクション) https://objecthub.keio.ac.jp/object/298  最近は自他の違いに目を向け、多様性を尊重するのがトレンドらし […]

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日曜論壇 第107回 政教癒着

(2022/11/20 福島民報掲載)

 ロシア正教トップのキリル総主教は十月末に行なった説教のなかで、プーチン大統領を「主席エクソシスト(払魔師)」と称し、「反キリストを掲げる者に立ち向かう闘士」だと讃えた。  「エクソシスト」といえば昔見た悪魔払いのオカル […]

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特集「モノ、こだわり、ストレスを手放そう。『捨てる』と人生が好転する!」 苦楽の尾ひれを捨てる

(2022/11/10 月刊PHP No.895 創刊75周年12月号掲載)

 『老子』第十章に、次のような言葉がある。「生(しょう)じて有(ゆう)せず、為(な)して恃(たの)まず、長(ちょう)じて宰(さい)せず、是(これ)を玄徳と謂(い)う」。要は「徳」についての規定で、最も深遠な徳(玄徳)は、 […]

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天真を養う 第12回 修行の階梯

(2022/11/01 墨 2022年11・12月号(279号)(芸術新聞社)掲載)

「十牛図」 陶山雅純摸 原本:狩野探幽筆 江戸時代 東京国立博物館蔵 出典:ColBase(https://colbase.nich.go.jp/)  「天真を養う」という言葉は不思議である。天真は以て生まれた命そのもの […]

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