エッセイ


「視標」東京五輪あと500日

(2019/03/12 共同通信配信掲載)

オリンピックと「その他」 現世を忘れさせる祭か  2020年7月の東京五輪開幕まで、12日であと500日。大会組織委員会は聖火リレーを福島県から始めるなど、東日本大震災の復興に寄与する五輪をうたう。では被災県民の心情は- […]

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偶像ではないけれど

(2019/03/01 うえの掲載)

 仏教はけっして偶像を崇拝する宗教ではない。それにしては、じつに多種多様の仏像を造形したものだが、冷静に考えれば、だからこそそれは偶像ではないのである。  『広辞苑』によれば、偶像とは「伝統的または絶対的な権威として崇拝 […]

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仮設トイレでの快哉

(2019/02/17 福島民報掲載)

 シナイ半島への陸自派遣が決まった。二回目の米朝首脳会談も決まり、日ロの領土交渉も大詰めに向かいつつある。世の中を見まわすと息苦しい出来事に満ち、また私も原稿の〆切が間近に迫っていたのだが、二月十日のお寺ではそれどころで […]

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人生後半、はじめまして

(2019/2/25 週刊現代ブックレビュー掲載)

 岸本さんの文章の魅力は、理路整然として、しかもスキップするような独特のリズムにある。しかしそのスキップのために、彼女がこれほど努力しているとは知らなかった。筋肉や骨はむろんのこと、歯や眼の衰えにも対処し、努力を惜しまな […]

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12月8日

(2018/12/16 福島民報掲載)

 12月8日といえば、我々禅僧にとっては特別な日だ。お釈迦(しゃか)さまが今からおよそ2500年前、12月8日の明けの明星を見て大いなる覚醒を得たという。その覚醒を追体験しようと、あちこちの道場では7日間、ほぼ不眠不休と […]

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「両行」とこころのレジリエンス

(2018/12/05 精神療法掲載)

 この国の諺(ことわざ)を眺めると、対立する意味合いの諺が必ずと言っていいほどあることに気づく。たとえば「善は急げ」と「急がば廻れ」、「嘘も方便」と「嘘つきは泥棒の始まり」、「一石二鳥」と「虻蜂取らず」、「大は小を兼ねる […]

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ネットとキノコ

(2018/11/25 日本経済新聞掲載)

 裏社会、というと、普通はヤクザやマフィアの世界を想うことだろう。しかしここで私が言いたいのは「ネット社会」のことである。最近はバッシングといえば自ずとネット上のことを想像する。いじめの多くもネットを介して行なわれている […]

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まだ高い薬価と「偽増悪」

(2018/10/14 福島民報掲載)

 十月一日、今年のノーベル生理学・医学賞に、本庶佑(ほんじょたすく)先生の受賞が決まった。先生の最大の功績は、おそらく「がん免疫療法」に道を拓(ひら)いたことだと思うが、これはじつに画期的なことである。  がんといえば、 […]

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無茶

(2018/08/12 福島民報掲載)

 筋道が立たないこと、道理に合わないことを昔から「無茶」という。誰もが何度も口にした言葉だと思うが、「無茶」はどうして「無茶」と書くのだろう? 小学館の『日本国語大辞典』によると、「無茶」はあて字、「無茶苦茶」もあて字だ […]

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猫と涅槃図

(2018/06/12 月刊ねこ新聞掲載)

 涅槃図というものをご存じだろうか。お釈迦さまが亡くなったとき、弟子たちだけでなく多くの動物たちも悲しんだとされ、その様子を絵に描いた軸物が大抵のお寺に所蔵されている。それが涅槃図である。  これは普通、お釈迦さまが亡く […]

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「たまきはる福島基金」の今

(2018/06/10 福島民報掲載)

 先日、「たまきはる福島基金」の理事会兼総会を郡山で開催した。今年で七年目に入る同基金の活動などを紹介したい。  もともとこの活動は、東日本大震災による甚大な被害を受けた市町村の、子供や若者たちを後押しするような活動を支 […]

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愛姫生誕四百五十年

(2018/04/08 福島民報掲載)

 お寺ではあまり生誕何年というお祝いはしないのだが、今年は永禄十一(一五六八)年に生まれた愛(めご)姫(ひめ)の誕生から四百五十年めになる。福聚寺の開基田村家のご息女であるわけだし、年忌ではないが無視するわけにもいくまい […]

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めでたい花まつり

(2018/04/01 うえの掲載)

 お釈迦さまの誕生を祝うお祭りは、アジアだけでなく世界各地で行なわれている。灌仏会(かんぶつえ)とか降誕会(ごうたんえ)、また明治以降は「花まつり」という呼称も使われるようになった。その誕生を祝福し、九頭の龍が現れて産湯 […]

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聖「冬のポンプ屋さん」

(2018/02/04 福島民報掲載)

 職業に貴賤(きせん)はないし、どの仕事もそれなりに大変なのはむろん承知している。海幸彦山幸彦の話を持ちだすまでもなく、どだい比べようがないのだし、かの福沢諭吉先生も他人の職業を羨(うらや)むことは世の中で最も下品なこと […]

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「竹林」……この厄介で魅力的な場所

(2018/01/09 一冊の本掲載)

 竹林とは不思議な場所である。風水ではその土地の歪みを矯正し、弱点を補うために竹を植えると聞いたこともある。また竹は地味豊かな土にしか生えないとされ、豊かな土壌の象徴でもある。  しかし最近は手が入れられず、放置されたま […]

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民主主義の赤字

(2017/12/3 福島民報掲載)

 今朝もまた、ミサイルが飛んだらしい(十一月二十九日)。午前四時まえのことで、全国瞬時警報(Jアラート)も鳴らなかったから、知らない人も多いようだ。  青森県の漁師さんたちは相当緊張しただろうが、殆んどは「え? そうなの […]

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無熱の慈しみ

(2017/10/31 東京新聞ほか掲載)

 北朝鮮のミサイルが止まらない。核実験も続いている。九月十五日朝のミサイルは、襟裳岬上空を通りながら三、七○○kmを飛んだ。最早明らかにグアム島も射程内である。  韓国では同じ頃、文在寅(ムン・ジェイン)大統領が地対地弾 […]

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山繭さま

(2017/10/01 福島民報掲載)

 この夏、女房が伊達市の「霊山こどもの村」で、繭(まゆ)を使ったワークショップを行なった。繭から純白の糸をほぐし、それを自分なりに膨らませた風船にもう1度巻きつけ、乾いたら風船を割る。すると自分だけの形の繭ができあがると […]

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「禅と骨」とミトワさん

(2017/09/02  映画「禅と骨」パンフレット掲載)

 私とミトワさんの接触は、さほど多かったわけではない。禅寺では毎月朔日と十五日、「祝聖(しゅくしん)」といってこの国の安泰を祈る儀式を法堂(はっとう)でするのだが、天龍寺の雲水だった私は列の後ろのほうから向かい側に立つミ […]

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こころの好縁会

(2017/08/31 東京新聞ほか掲載)

 正確には覚えていないがおそらくここ数年以上、「こころの好縁会」と銘打った講演や対談の催しに毎年招かれている。主催が岐阜県の大興寺(だいこうじ)さんと中日新聞社であるため、これまでは中部地方で開催されることが多かった。岐 […]

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