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心おのずから凉し
(エッセイ・ 2022/7/1 )

 唐の文宗はある夏の日に学士たちと聯句を楽しみ、まず発句を詠んだ。「人皆な炎熱に苦しむも、我は愛す夏日の長きことを」。柳公権が続けた。「薫風南より来り、殿閣微凉を生ず」。他の学士も句を続けたのだが文宗はいたくこの句が気に […]

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其の心
(エッセイ・ 2022/4/30 )

「應無所住而生其心」 慈雲尊者「金剛経」(臨済録・金剛経・碧巌録之句 三幅のうち一幅) 紙本墨書 京都・地福寺藏  人間はあれこれ考えないではいられない存在だが、この「考え中」ほど困った状態はない。禅では「分別」「妄想」 […]

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心力を労せず
(エッセイ・ 2022/3/1 )

一行書「不労心力」 夢窓疎石 紙本墨書 一幅 南北朝時代 東京国立博物館藏 出典:ColBase(https://colbase.nich.go.jp/)  『臨済録』に次のような説示がある。「心法は形無くして十方に通貫 […]

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隻手
(エッセイ・ 2022/1/24 )

 臨済禅の道場に入門すると、まず老師から初関と言われる公案をいただく。初関とは最初の関所。これにより、禅僧としての威儀や作法だけでなく、心の在り方も習得させようというのだ。  私は「狗子仏性(くしぶっしょう)(趙州(じょ […]

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竹林の風
(エッセイ・ 2021/11/8 )

沢庵宗彭「竹画讃」 福聚寺蔵  西洋の人々が東洋に憧れるとき、そこに意外なほど竹という植物が介在していることに気づく。茶筅や竹刀(しない)、筆や弓矢にも竹は欠かせないが、むろん竹林という環境もインドには竹林精舎を生みだし […]

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放心を具えよ
(エッセイ・ 2021/9/1 )

宮本武蔵「枯木鳴鵙図」出典:和泉市久保惣記念美術館デジタルミュージアム  前回は意識を臍下に集め、身心の安定を図る白隠禅師の「内観の秘法」を紹介した。意識をどこかに集めることは、「求心」と謂い、禅定(あるいは三昧)へ向か […]

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内観の秘法
(エッセイ・ 2021/7/1 )

 前回に続き、白隠禅師の独自の教えに学びたい。禅師は八十四歳の天寿を全うしたが、生涯を通して頑健だったわけではない。二十六歳の頃「禅病」に罹り、「名医を探ると云へども百薬寸効なし」という状態に陥った。症状としては「心火逆 […]

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呼吸と脱力
(エッセイ・ 2021/5/1 )

白隠「楊柳観音図」 出典:ColBase(https://colbase.nich.go.jp/)  命を養う上で、最も重要なのは呼吸だろうと思う。普段は自律神経が勝手に制御してくれるから意識しない人も多いが、意識すれば […]

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無 事
(エッセイ・ 2021/3/8 )

 栄西禅師が書かれた『喫茶養生記』序文には、「天、万像を造りしに、人を造るを以て貴しと為す。人、一期(いちご)を保つに、命を守るを以て賢しと為す也」とある。天は人を造ることを最も重視したのだから、人は天から授かったその命 […]

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○△□
(エッセイ・ 2020/12/28 )

 今回からこの欄をいただき、駄文を綴ることになった。総タイトルは「天真を養う」だが、主に養生や呼吸、禅、瞑想、書道、あるいは日常茶飯事なども話題にしながら、命とのつきあい方を考えてみたい。  この言葉、元々は「虚懐天真を […]

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涼風に出逢う旅
(エッセイ・ 2007/9/1 )

 長年文字を書くうちに、我々はどうしても自分らしいクセを身につけてしまう。撥ね方、抜き方、止め方にも、その人独特の個性がにじむものだ。そのことじたいは自然なことだし、善くも悪くもない。むしろ活字のような文字ではつまらない […]

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